自分で握ったおにぎり、お茶とカメラを携えて陽が昇る前に車を走らせた昨日。遊びではなく、副業の灯油の巡回販売をするためだった。
副業中のお昼は、菓子パンや惣菜パンを食べることがほとんどだったが、財布がペラペラになってきたために昼食を節約したからだ。
東京で今冬、初めての降雪があるやもとの予報が出ていたが、外れたようだ。
昨日はいい天気だった。季節風が吹きつけることもなく、朝から穏やかな1日になった。
そんな中、いつもの土曜日のようにローリー車のハンドルを握りながら、住宅地で玄関先に置いてあるポリタンクを探し回った。
自分が最初に巡るエリアには、公立の大学がある。
そのエリアをうろついているのは土曜日。いつもはそれほど存在感を感じていなかったが、昨日は違った。
大学の場所などの案内が何回か目についた。その大学に通っている学生とも思える女性が、案内に立っていたこともあった。
昨日はセンター試験だったのだ。今年で最後になるはずの。 前回の巡回販売を終えたあと、気になっていたことがある。それは、あるお客に会えなかったこと。
岐阜市営住宅に住んでいるシニア女性で、歩くときには少し足を引きずっていた。
通りから奥まったところにあった部屋に住んでいた彼女。灯油を買ってもらった時は、玄関先まで自分が運んでいた。距離にして30メートルくらいは、あっただろうか。
昨日、彼女が住んでいた辺りに近づくと景色が一変していた。年季が入っていたコンクリートで作られた建物が、無くなって更地になっていた。
挨拶できなかったことが寂しいなんて、格好つけたことは言わないが、彼女とのちょっとした関係が突然に消えてしまったことは寂しい。
取り壊された住宅のことを近くのお客に尋ねた。一軒家に住んでいる男性客に。
彼は市営住宅のことをよく思っていなかったことがわかった。
彼の自宅は未だに浄化槽なのに、市営住宅には下水が配管されたことを引き合いに、語ってくれた。
彼の自宅と更地になった場所は歩いて5分もかからない距離。
彼がそのような考えを持っても仕方がないのかもしれないが、自分としては何かが気になった。
自分一人で担当エリアを巡るようになって、昨日で5回目。
仕事の要領も少しはよくなってきた。それ以上に地図を見る回数が格段に減ったので、仕事のスピードは上がってきたが、早く帰宅できる訳ではない。
昨日の朝、営業所に出勤すると入庫時間を守るように掲示されていたからだ。指定されている入庫時間は19時から。
するべきことを終えても、早く帰ることができない理不尽さ。
働き方改革ってなんだっけ?