子供のころから、おばちゃんには可愛がられやすいキャラクターの自分。
アラフィフになったオッサンが、特定の女性のことをそう呼ぶのは憚られるのは当然だ。
今日、書き残しておきたかった女性は自分の母親と同じ歳なので、親しみも込めておばちゃんと表現することにしたい。
そのおばちゃんは、今の仕事先の掃除婦。彼女と親しくなったのは、自分の左隣に座っていた男性エンジニアのおかげ。
隣に座っていたエンジニアは自分が所属している会社のひとつ上位会社の社員。その会社でのリーダーを務めていたが、先月で現場を離任した。
今は自分の左隣が空席だ。 おばちゃんは彼のことがよっぽど気になっているのだろう。彼女と挨拶をすると、すぐに彼のことを話題にしてくる。
彼女は自分よりもはるかに彼のことに詳しいことを今日、思い知らされた。
正直、外見は特別に人目を引くようなタイプではない彼。太ってこそいないものの身長は高くないし、毎日同じ上着を着ていたのが自分は気になっていた。
だが、人は見かけによらないもの。服装などはいたって地味だったが、多くのエピソードを持っていた彼。
まだ一緒に仕事をしていたころ、彼の妻の出産が近いことを知った。
臨月になっていたのに、彼とグラスを傾ける機会があった。その会は、自分の歓迎会でもあったが、彼の送別会でもあったから。
そんな酒宴の席で、彼の馴れ初めについて知った。彼は妻からナンパされたらしい。
彼が立ち寄ったコンビニの店員が現在の妻だと教えてくれた。そのころの彼には、つきあっていた彼女がいたようだった。
その彼女に別れを伝えてから、数時間後に告白した女性が臨月を迎えていた妻だと聞いた。
とても、そんな大胆な行動をするようには見えなかったので、話を聞いた時には驚いた。
さて、おばちゃんに話を戻そう。
おばちゃんと今日、話をしていると話題は当たり前のように彼のことになった。
おばちゃんは彼が現場を離任することになった理由を知っていた。その理由とは、育児休暇の取得。
彼の両親は飛騨、妻の両親は四国に在住のために子育てに親の手を借りられないことまで、おばちゃんはわかっていた。
彼の妻がフルタイムで働いていること、産後も職場に戻る意思があることもあって、当初は三年の育児休暇取得も考えていたということまで。
しかし、彼は育児休暇の取得を半年にしたらしい。その理由までおばちゃんは知っていたのには、驚いた。
男性が育児休暇を取得するのには違和感がない。どんな立場の人間であっても、皆等しく気軽に利用できるのが前提条件だが。
一部の人だけが利用できる制度であってはならないと思う。既得権益のように。