淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。広く浅く、そして薄い視点で気楽に書いてマース。

イタリア土産

 小学生のころから40年近い友人が先月、イタリアに行ってきた。帰国してすぐに、お土産を買ったことを知らされていたので、しばらくは気にしていた。
 だが、いつまでたってもその後の連絡はなかった。長年の友人でも、こちらから催促するのは流石に気が引ける。図々しい気がして。実際、どちらかというと図々しいのだが。

 そうこうしているうちに気がついた。その友人は時間や約束に関して、緩いというかルーズな面があることを。
 お土産が生ものではないのだろうと、思って気長に待っていたら昨日の夕方に、突然メールで連絡があった。
『しばらくたってしまったがお土産を届けようと思う』、と。

 自宅で待っていると、友人がお土産を携えて訪ねてきた。客間に通して、久しぶりにいつものような他愛もない話をした。お土産やイタリア滞在中のことなどを。
 自分がお土産はワインかお菓子だろうと想像していたと話すと、友人もワインかお菓子か迷ったそうだ。だが、ワインは重いので却下したらしい。
 別に友人がケチったとは思わない。彼は時間にはルーズだが、お金には非情に気持ちが良いからだ。自分の交友範囲の中で、彼ほどお金のことに対して綺麗な人間を知らない。

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友人がプレゼントしてくれたお菓子のひとつ
 イタリア滞在中の話を聞き出そうとすると、全く要領を得ない。すぐにわかったのは往復に利用した航空会社くらいだ。
 ミラノ近くの郊外にあるホテルに宿泊したらしいのだが、2人でインターネットを使って確認しようとしたが、結局わからなかった。

 滞在中にはあるシンポジウムに参加したようなのだが、そのシンポジウムのテーマや開催された会場なども、彼の記憶があまりにも曖昧なために、伝わってこない。
 彼の携帯電話はスマホでないし、写真もないので確認することもできない。話を聞けば聞くほど不明瞭になっていくので、もやもやした。
 今度会うときには、シンポジウムの資料などがあるので、それらを見せてくれることにした。

 彼はイタリアを旅するのは2回目。彼が初めてイタリアに行って帰国した際には、聞かなかったちょっと興味深い話をしてくれた。
 現地で食べた料理が、非情にさっぱりしていたと。それに比べて、日本国内で普段自分たちが食べているイタリア料理は非常にしつこく、くどい味に感じたようだ。
 彼も自分と同じ年齢なので、味覚が変わってきていることも、影響しているのかもしれない。

 隣国のフランスは入国したことはあるが、イタリアには訪れたことがない自分。イタリアもいつかは行ってみたいと思っているが、そんな日はくるのだろうか。
 とりあえず、作り直したパスポートの期限はまだまだ残っているのだが。

村上主義者

 最近、あることがマイブーム。村上春樹のノンフィクションを読むことが。
 村上春樹はどちらかというと、遅筆な作家に入ると思うが、作家になってからの月日が長くなったせいで、ノンフィクションだけでも、著作は結構増えてきた。

 エッセイだけでなく、対談集やインタビュー集まで多岐に渡るが、今自分が夢中になっているのは、上記のどのジャンルにも入いらない。
 彼は時折、読者と期間限定でホームページを設け、そのページ上で読者からのメールによる質問を受け付けて、返答することを試みている。
 自分が今、読みかけているのはその中でも一番直近だったものを、本にまとめたものだ。
 タイトルは『村上さんのところ』。文庫本で買って、通勤時や平日のお昼休みに少しずつ読み進めて愉しんでいる。

 村上春樹は好きな作家ではあるが、小説でさえ全ての著作を読んでいるわけではない。ちょっと前までは、エセハルキストと自称していた。
 若いころは自分が村上春樹好きなことをわりと頻繁に口にしていたし、彼の著作を他人に勧めることも多かったが、まわりには受けが悪かった。自分のまわりは読書をする人間が多いのにも関わらず。
 日本の作家では今、一番ノーベル文学書に近い作家だというのに。未だにどうしてか、自分にはわからない。

 そのうち、他人には彼の著作を勧めるどころか自分が彼のファンであることもあまり公言しなくなった。
 ちょうど、ハルキストという言葉が広がり出したのと比例するように。
 まず、自分の妻が彼の作品が好きではなかった。妻の父親はかつて本屋を経営したこともあって、妻自身も本を読むのは嫌いではないほうだったのだが。

 考えてみたら、妻と自分は服装の好みから聞きたい音楽まで、一致することが多くないので、好きな作家や書籍の好みが違っていても仕方がないとは思うのだが。
 その洞察を続けると、そんなに趣味が合わないのにどうして結婚したのかという答えに辿り着きそうなので、あまり突き詰めるのは辞めることにしよう。

村上さんのところ』は結構、読み応えがある。HPが公開されていたときは、リアルタイムで彼の質問への回答を見ていた気がするが、今本で読み返すとどの回答も初めて目にしたきがする。自分の低い記憶力のせいで、楽しめていることを喜んでいいのかは、少しひっかかるところではあるが。

 読者との質問の中で、村上春樹はハルキストという言葉に良い印象を抱いていないことを公言している。それよりも、村上主義者という呼称を普及させたいようだ。冗談で、隠れキリシタンのようにというようなニュアンスのことも付け加えている。
 確かに今自分がまわりの人間関係に置かれている状況はそんな感じだ。好きな作家名を聞かれても、彼の名を出すことは少なくなったが、こっそり彼の著作は読み続けているからだ。
 ハルキストではなく、村上主義者として『村上さんのところ』の残りのページを、まずは愉しんでいきたい。

豚KINGに行ってきた

 昨夜の金曜日は珍しく夜遅くまで呑み歩いた。
 かつて一緒に仕事で泥水を飲んだ友人から、一昨日の夜にLINEで仕事の愚痴が送られてきたのが、きっかけだ。
 こういう時には電話で話を聞くよりも、居酒屋でビール片手に話を聞く方が、お互いにすっきりすることが多いことが経験上わかってきたからだ。
 自分が40数年生きてきて気がついたことの、数少ないひとつだが。

 その友人は今、世界でもトップクラスの自動車メーカーのシステムのプロジェクトに参加している。自分も春先、同じプロジェクトに参加していたので、ストレスになる原因なども想像つきやすい。
 また、自分はそのプロジェクトで受けたストレスのために声が出なくなったこともあって、より共感もできる。自分で言うのもなんだが、彼の愚痴を聞くのにぴったりの人選だったと思う。

 19時30分過ぎから、自分が以前から行きたかった居酒屋で飲み始めた。その店の名は、豚KING。黄色い看板やメニュー構成が、焼鳥チェーン店の鳥貴族に似ている。
butaking-sakaehirokouji.owst.jp
 だが、違いは当然ある。まず、店での在籍時間の制限だ。入店時に120分までしか滞在できないことを説明された。
 昨夜は金曜日だったので、すぐに座れないほどの混雑を予想していたのだが、電話をするとすんなり入店できた。
 入店してびっくりしたのは、店内に空席が目立ったからだ。
 繁華街の居酒屋ではお客の回転率を上げるために、建前上座席の制限時間を設定している店はよくある。だが、混雑していない場合は、柔軟に対処してくれることが多い。
 豚KINGはルールに厳しい店であることがわかった。

 ビールの銘柄も違った。鳥貴族はプレミアムモルツだったと記憶しているが、豚KINGはスーパードライ
 自分はビールを注文することが多かったが、友人が途中で梅酒のソーダ割を頼むとそのグラスが冷えていなかった。
 これが高価格帯の居酒屋なら店員を呼んでいたかもしれないが、低価格帯の店では仕方がないところだろう。
 だが、鳥貴族では似たような経験が自分の記憶にない。

 鳥貴族に行く場合、自分は釜飯を注文することが多いのだが、豚KINGにはご飯もののメニューはいくつかあるのだが、釜飯はなかった。
 代わりに自分は、たこわさ茶漬けを友人は豚骨ラーメンを締めの一品とした。
 会計をすると、6000円超。友人がお酒に強くないことを考慮しても、他の居酒屋チェーン店よりはお得感はあった。鳥貴族に比べると多少、割高感を感じたが。

 店を出ると、繁華街の週末にしては人手が少なく感じた。友人は県境の郊外に住んでいること、中途半場な時間なこともあって解散した。
 そのあと、独りで日付が変わって財布が空になるまで飲み歩いたが、二日酔いになるほどではなかった。

 また、豚KINGを利用するかと聞かれれば、自分の答えはイエス。呑みに行く店を鳥貴族との二択で選ぶとしても、しばらくは豚KINGを選ぶだろう。
 自宅近くに個人でやっている美味しい焼鳥屋の馴染みであることと、鳥貴族には来店しすぎて飽きてしまったのが、その理由だ。

15歳の誕生日

 昨夜、職場で知り合った友人3人とお好み焼き屋へ出かけた。そのうちの友人の1人と以前、そのお店でお好み焼きを食べたことがあったのだが、また食べに行きたいと言ってくれていたからだ。
 その店はあるターミナル駅の最寄りであるが、裏路地の奥まった所にあるために少々わかりにくい。
 店は18時30分に予約したのだが、10分前に駅で全員落ち合って一緒に歩いていくことになった。

 そのお店はお好み焼き以外の料理も美味しいし、店の雰囲気も悪くない。かといって、値段も割とお値打ち*1だ。
 そのせいか、付近にあるキャバクラやガールズバーに訪れるお客が、店の女性と同伴する姿をよく見かける。
 普段なら、平日でも予約を取らないと入店できないことも多いのだが、昨日は珍しく店内は静かだった。
 40代3人の男たちで、店の一番奥の4人掛けのテーブルに陣取った。自分の席から他の客は一組のカップルしか見えなかった。初めは男性1人で入店して誰かを待っている様子だったが、相手が女性だとは思わなかった。
 お好み焼き、焼きそばともんじゃ焼きまでを3人で堪能すると、時計は21時を回っていた。

 河岸を変えることにした。あるガールズバーへ。3人でも何度か遊びに行ったことがある店だ。
 雑居ビルにあるのだが、ビルの入り口で見慣れない正装した若い男性に声をかけられた。どちらに行くのかと。
 すると、その男性は自分たちが行く予定であった店に、入店したばかりのボーイだということがわかった。
 ボーイは店までエスコートしてくれたのだが、エレベータ内でもほとんど無口だった。まだ慣れていないのだろう。

 ガールズバーに入店すると、1人のお客がカウンターに座っていただけだった。
 自分たちはボックス席に促された。空いていたし、3人だったので気後れすることもなかった。
 最初に顔なじみの女性が接客してくれた。彼女は入店してから、それなりの時間が経っていることもあり、そつなく、自分たちの飲み物を用意してくれた。
 自分は彼女とよく顔も合わせているし、LINEのIDも知っているが、こちらからはあまり、メッセージを送付することはないが。

 2人目に自分たちの接客をしてくれたのは、自分が初めて会話をする女性だった。顔は以前に一度だけ見たことがあったが。
 メークを変えていたせいか、受ける印象が違った。
 本人曰く、今日が9度目の出勤とのこと。今まで無理をして、明るいキャラで接客してきたが、自分にはあっていないことに気がついたと話してくれた。

 さりげなくネガティブなことを話すのだが、それがシュールで面白かった。
 キャバクラやガールズバーの女性は、明るい接客だけが求められている訳ではない気がする。きっと、彼女のような、タイプを求めるお客もいるだろう。

 そんな彼女の話の中で、自分に強く残っていることがある。彼女の両親は離婚しているらしいのだが、離婚届を出したのが彼女の15歳の誕生日だったのだ。
 彼女はそのことを気にしているようだった。確かにわざわざ、娘の誕生日に離婚しなくても、と自分も思う。
 これからの彼女の誕生日が良い思い出で何度上書きされたとしても、15歳の誕生日のことは時々思い返されるかと思うと、少しせつない。

*1:名古屋弁で価格が安いという意味

やっぱり一日がかり

 昨日は神経内科の診察日。右手の親指と人差し指のしびれが取れないために、先月から通院を続けている。
 予約時間はいつもより早い、10時30分。9時からの診察開始のため、いくら前の患者の診察がずれ込んでも、12時には診察が終わると予想していた。
 それでも、普段なら通院のために有給休暇を取得したかもしれない。自社には半休の制度がないために、遅刻扱いになるので減給されるからだ。
 だが、前々日が台風のために終日自宅待機になる可能性が高かったため、14時くらいまでには出勤するつもりでいた。現場のことを多少は慮って。

 通院している病院は元市民病院を民間の医療法人が買い取った病院のため、一応は総合病院の体をなしている。
 再診機があるので診察券を通してから受付をして、自分で血圧を測定器で測ってから、内科の総合窓口で再び受付をする。
 これだけのことだが、高齢の患者には難しいようだ。通院するたびに、この一連の流れを看護師が患者に説明している姿も見慣れた。

 内科の受付を済ますと、診察の順番を示す液晶モニターには60分遅れと表示されていた。流石にいつもよりは、遅れ時間が少ない。
 ひょっとしたら、正午前には診察が終わるかもしれないと、最初は楽観視していたが、液晶を見ているうちに90分遅れに変わった。正午前に診察を終えるという自分の目論見は、早くも怪しくなってきた。

 自分が主治医から診察室に呼ばれると、正午を過ぎていた。問診の結果、首から下の神経をMRIで検査することを勧められたので、その助言に従った。
 前の患者が検査を受けていることもあり、MRI検査を受けることが出来たのは13時過ぎ。
 簡潔に状況を現場にメールで連絡をすると、何時に出勤できるかという返信がすぐに来た。
 相手からしたら、当たり前のことかもしれないが、自分は医者でも医療関係者でも神様でもないので、わかる訳がない。
 診察が全て終わったら、再度連絡することを返信した。

 病院の待合で待っているのも意外と疲れる。そのせいか、MRI検査中に眠ってしまった。前回の検査時も居眠りしていた気がする。そのせいか、検査が終わるのを早く感じた。
 検査後、再度主治医の診察を受けるために内科の待合で待っていた。

 すると、救急車から運ばれてきた患者が、神経内科の診察室に運ばれてきた。
 まわりの患者の何人かの表情が曇ったのに気がついた。気持ちはわかる。だが、運ばれてきた患者は、あきらかに重篤そうだったので、自分は仕方がないと思っていた。
 だが、たまたま今日の自分はそう思えただけなのかもしれない。

 結局、診察を終えて会計を済ますと15時を過ぎていた。現場に電話をすると、何時に出勤できるかを聞かれた。16時30分くらいだと答えた。
 昼食も食べていないし、車で一度帰宅する必要もあるからだ。
 こちらから、その日中にどうしても対応しなければならないことがあるかを聞くと、確認するという答え。
 電話を切って、再度連絡を待つことになった。数分後に電話があった。
 出勤してもすぐに帰ることになるので、今日は休暇扱いにすることでお互いに合意した。
 次回の診療予約は11時30分になってしまったので、素直に休暇申請をするつもりだ。