淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

『やさしいJava』を餞別として送った彼

 今日も午前中から出勤だ。副業先のラーメン屋に。
 ラーメン屋に勤めてから10年ほどになるが、様々な人が自分の前を通り過ぎた。
 社員は2人在籍。彼らはただ自分と同じ年齢を重ねただけだが、アルバイト、パート従業員はそれなりに入れ替わった。
 本業があるために出勤頻度こそ高くはないが、気がつけばバイト先で3番目の古株になっている。
www.megamouth.info
 さきほど、上記のblogの記事を興味深く見させてもらったが、その後にある人のことを思い出した。かつて、ラーメン屋で一緒にアルバイトをした男性フリーターのことを。
 当時、彼は20歳前後だったと記憶している。フリーターといっても、どちらかというと引きこもり気味で、ラーメン屋以外のバイトはしていなかった。
 彼の学歴は高校中退。趣味は家でネットを見るかゲームをすること。性格は穏やかで優しく、仕事の教え方も丁寧で的確。当時、なかなか仕事に慣れなかった自分は彼に、かなりお世話になった。

 お世話になっただけでなく、自分は彼にシンパシーを感じていた。
 自分も彼と同じ年齢のころ、フリーターをしていたこと。自分も大学に進学することや公務員を目指していたが投げ出していたことが、彼が高校を辞めたことと重なって感じていた。

 そんな彼がある日、バイトを辞めることを決めた。当時、それは唐突のようにも感じたが、人が仕事を辞める時は唐突なことがほとんどのように、今の自分は思う。
 理由はフリーターを辞めて、会社員として働くことを目指すつもりだと、社員や自分に語った。職種はプログラマを目指すつもりだということも。

 それからも彼が退職をするまでの間に、何回か一緒に働いたが、その際は自分の本業関連のことを聞かれた。
 どのようなことを勉強すればよいのか、どのようなルートで業界に潜りこめがいいのかなど。
 当時も今の自分も、IT業界の隅の末端で最低限の仕事をなんとかこなし、労働者の権利だけはできるだけ求めるというスタイルは変わらない。
 そんな自分が彼に助言できることはわずかだった。彼から自分が受け取ったものと、自分が彼に差し出すことができたものは少なかった。圧倒的に。

 せめてと思い、彼と一緒に働くことになっていた最後の日に自分は餞別を用意した。餞別とはあるプログラム言語の入門書。高橋麻奈著、『やさしいJava』。
 版さえ違ったが自分もこの本がボロボロになるまで読み、勉強したことがあったからだ。

 同じ現場で会う日がくるかもしれないようなことを、冗談まじりで彼に話したことを覚えている。
 その日から、数年経ったが彼のその後のことは知らない。いくつかの現場を自分が渡り歩いても、まだ現場で彼と出会ってもいない。
 そんな日がいつか訪れるのだろうか、ある日突然に。