淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。広く浅く、そして薄い視点で気楽に書いてマース。

ラ王への道

 初場所で引退を発表した稀勢の里。3敗目を喫した日にタクシーに乗ると、運転手が話しかけてきた。明日、稀勢の里が土俵に上がるか、と。その話題を口切りに運転手と会話が弾んだ。
 シニアと言っても差し支えない運転手から見ても、自分の外見は相撲に興味を持ちそうな年齢だったのだろう。

 自分が初めて会社員になった会社の社長は、よく口にした。大相撲はある程度の年齢にならないと興味を持てないと。相撲に対してほとんど興味を持てなかった20代の自分は、半信半疑でその言葉を聞いていた。
 当時の社長の年齢を数年過ぎた40歳ころから自分も、大相撲に惹かれだした。熱狂的でない、にわかファンではあるが、プロスポーツの中では野球の次に気になっている。Jリーグなんかよりもずっと。

 自分が時折出かけるスーパー銭湯の炭酸泉にはTVがあり、本場所がある間の夕方は常にチャンネルはNHKになっている。結びの一番が近づくにつれて、炭酸泉近くに設置してあるテレビに皆が集まってくる。
 立ち会いの一瞬毎に皆が息を止めているのが伝わってくる。最近、その瞬間が何故か好きだ。他人同士、どちらの力士を応援しているかなんてわからないはずなのに、なんとなく連帯感を感じるのはどうしてだろう?

 稀勢の里の引退会見がスポーツ新聞やネットなどで話題になった。漫画、『北斗の拳』の登場人物、『ラオウ』が主人公との死闘に敗れて死ぬときの台詞を引用したからだ。
 稀勢の里は『北斗の拳』のファンであることは有名だったらしい。
 自分からしたらちょっと恥ずかしい気もするが、彼と『北斗の拳』両方のファンからしたら、たまらない会見だっただろう。

 話は変わるが、自分が楽しんでいたあるサイトの更新が昨年止まった。そのサイトとは、『ラ王への道』。
raou.jp
 サイト運営者ことToritateninが東海地方、特に名古屋近郊の愛知県のラーメン屋を巡り、その店のメニューを5段階で評価していたサイトだ。自分のまわりのラーメン好きの何人かも、よく見ていたようだ。

 サイトのプロフィールによると、Toritateninがラーメンの食べ歩きをはじめたのは2003年1月。昨年までの15年間、気になる店があれば自ら足を運んで一杯のラーメンを味わうだけでなく、カメラで写真も撮影して感想を綴る。ラーメンが好きだったとしても、淡々と続けてきたことは偉業だと思う。『王』と名乗っても、自分は違和感を憶えない。

 稀勢の里は力士として17年、Toritateninは『ラ王』として15年活躍した。
 どんな簡単なことでも続けることが容易いことではないことが歳を重ねる毎に身に染みてくる。
 今続けていることの何かを、自分は彼ら以上に続けることができるだろうか。続けることができるものを新たに、発見することができるだろうか。
 2人の引退から、ふとそんなことを思った。