淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。広く浅く、そして薄い視点で気楽に書いてマース。

初めてと、久しぶりが続いた午後に

 ウーマンラッシュアワー村本は、ウーピー・ゴールドバーグに対面で質問したことがあるそうだ。質問内容とは、自身がスタンダップ・コメディーで認められるようにはどうしたらいいかを尋ねたようだ。
 ウーピー・ゴールドバーグは次のように答えたらしい。いろいろな所に行っていろいろな物を見て、いろいろな人に会って、いろいろな人と話しなさい、と。
 ウーピー・ゴールドバーグからしたら、名前も知らないジャパニーズコメディアンの1人くらいにしか思っていなかっただろうが、彼女の人となりが伝わってくるようなエピソードだ。
 このやり取りは、通訳を介して行われたらしい。村本もウーピーも、それぞれ日本語と英語を話せないから。

 このやり取りが今の彼、ウーマンラッシュアワー村本の行動指針になっているのではないだろうか。もし、そうであれば、非常に共感できる。
 自分も常に新しい刺激、インプットがなければたいした自己表現もできないまま、人生を終えてしまうことになってしまうと考えているから。
 魅力的な人間かどうかの価値判断の基準の一つには当然、その人間のアウトプットが含まれるだろう。

 昨日の午後、自分は新しいことと久し振りのことを続けて経験できた。初めての経験とはスタジオでのポートレート撮影。久し振りの経験とは、劇団による演劇の鑑賞だった。

 どちらもその行動を取ることになったのは、気まぐれではなく理由があった。
 スタジオでのポートレート撮影は、感銘を受けたカメラマンがポートレート撮影会での撮影の合間の時間に、自分に話したことがきっかけだった。
 スタジオでの撮影に対して否定的なことを言うカメラマンが多いこと、自分が思うような作品が撮れなかったことを環境のせいにするカメラマンを下に見ているのが、彼の口ぶりから伝わってきた。

 その時はまだ、彼の作品を見たことがなかったので、話半分に聞いていた。だが、彼の作品をSNS上で見て驚いた。
 正直、同じロケ地で撮ったカメラマンは彼と自分以外に何人も居たが、彼ほど自分に対して実力の差を見せつけた人はいなかった。
 ひょっとしたら、自分が彼らとの差を感じられないほどのセンスしか持ち合わせていない可能性も、多少は捨てきれないが、どうだろう?

 自分と同一人物をモデルとしているだけでなく、ロケ地が一緒の作品もあったのだが、自分の作品との圧倒的な差を見せつけられたからだ。
 もちろん、使用しているカメラや機材の差はあったが、そんなことは言い訳にもならないほどだった。
 彼は同じ日に同じモデルでスタジオでも撮影していた。その作品も見せてもらったが、目が留まってしまうものばかりだった。

 外ロケだけでポートレートの撮影をするよりも、環境を変えた方が得るものがあるかもしれないと考えて挑戦することにした。
 もちろん、自分が撮影したくなったモデルを見つけたこともある。
 そのモデルの名前は、美波なつさん。twitterで彼女が描いたイラストと歌っている生歌を見つけると、どうしても彼女と撮影したくなった。そんな彼女の撮影会の会場がスタジオだったのだ。

 自分が初めてポートレートの撮影に挑むことになったスタジオは、鶴舞駅の近くだった。鶴舞の街には思い入れがある。
 亡くなった父は、自営でメカニカルエンジニアをしていた。鶴舞は一番長く事務所を構えていた場所だったし、その事務所に入居するときも、退去するときの引っ越しも自分が手伝ったから。
 そんな思い出の場所、鶴舞で自分が新しいことに挑戦することになった。

 撮影会は15時30分からだったので、10分前には現地に着いた。
 エレベータで7Fに上がってスタジオに足を踏み入れた瞬間、その空気に呑まれた。今までに味わったことがない雰囲気に包まれて、一瞬で緊張した。アラフィフに近いオッサンがプライベートな時間にも関わらず。
 的確かどうかはわからないが、若い時に初めて賭場に行ったような感覚に近いのではないだろうか。
 それでも、一緒に撮影したカメラマンとモデルの美波なつさんの人柄のおかげか、少しは雰囲気に慣れることはできたが、最後まで緊張が解けることはなかった。
 現像はまだまだこれから。RAWファイルを見て振り返ると、自身が得たものは多かったように思う。

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初めてスタジオでのポートレート撮影のモデルは、美波なつさん。
 撮影会は17時までだったのでその後、JR中央線に乗って次の目的地に向かった。次の目的地は、千種文化小劇場。JR千種駅から歩いて15分ほどの場所にあったが、訪れたのは初めてだった。
 現地に到着して劇場の外観を撮影していると、現地で待ち合わせの約束をしていた友人に、自分が被写体として撮影されていた。
 この劇場で友人と2人、昨年9月以来の観劇をすることになっていた。
 公演内容は『劇団 刈馬演劇設計社』の『神様から遠く離れて』。作・演出は刈馬カオス。
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『神様から遠く離れて』のポスター
karumaengeki.wixsite.com
 ネタバレになってしまうので、ストーリーやテーマの詳細には触れないが、劇団代表でもある刈馬カオスのプロフェールが上記のHPに掲載されていたので、その点から少し触れたい。
 若いころに劇団「青年団」で俳優として活動していたことが説明されているが、作品を見てそのことに関して納得した。どことなく、テーストが劇団「青年団」と似ていたから。

 自分は過去に劇団「青年団」の作品を観たことがあったし、自分の弟からも劇団「青年団」とその代表である平田オリザについての話をよく聞かされていた。
 弟は大学に通っていたころの一時期、演劇で身を立てるつもりだったので、劇団「青年団」とその代表である平田オリザについての造形は深かったし、知り合いが劇団「青年団」に1人参加していたらしい。

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開演前のステージ。写真撮影もネット上での公開も劇団の了承済み。
 開演は18時で上演時間は1時間50分。劇場を出ると、日が長くなっているとはいえ、外はすっかり暗くなっていた。
 2人で今池まで歩いて、カウンターだけの小さな焼鳥屋に飛び込みで入いった。店の奥に小さなTVが置かれ、野球が中継されていた。
 こぢんまりとしていて、どこか懐かしささえ感じるような店で友人と2人、ビールを味わったがいつもと変わらずに美味しかったことが、いつもより際だった。
 いつもと同じままでも、価値があることもある。