今、自分が仕事をしているオフィスは丘の上にある。建物には二基のエレベーターが備わっている。
それほど高い建物ではないが、丘の上にあることもあって風を強く感じる日も少なくない。
自分の机がある執務室は3F。飲み物の自販機は1Fと5Fにしかない。
勤務中は会社の敷地外に出ることを禁止されているので、飲み物が欲しくなったら1Fか5Fのフロアまで移動しなければならない。
1Fにある自販機の一つが最近になって入れ替わった。挽き立てのコーヒーが飲めるマシンだが、まだ利用したことはない。
自分の隣に座っている若いエンジニアは飲み物が欲しくなると、5Fの自販機を利用するという。飲み物を購入するついでに景色が楽しめるからと話してくれた。遠くの山を見ているようだ。
自分もその景色に興味を持ったので5Fに上がってみた。
東側の窓から遠くを眺めると、頂きが白く染まっている山が連なって見えた。おそらく南アルプスだろう。
職場から南アルプスが見えると話すと、うらやましがる人もいるのかもしれない。
東側の眺めも悪くないことに気がついたが、3Fから南側の眺めるのが好きだった。ちょっとした菜の花畑が見えるから。
北側には道を挟んで会社の工場の建屋、西には団地が目立っているが、どちらも興味を惹かれるほどの景色ではない。
どの方向にも開けている場所で作業をしているが、近ごろの自分の気持ちは停滞気味。
やり甲斐のない仕事をなんとかこなしている。そんな日々が続いて半年近く。
いつまで今のオフィスに勤務することになるのだろう?
今の現場に自分が着任したのは昨秋だった。春も本番に近づきつつある今日このごろ。思いのほか、今の現場に関わるのが長くなってしまった。
年が明けてから、自分が手伝っている組織の所属名は変わったが、参加しているグループの構成員は誰一人も変わっていない。
水曜日の今日は定時退社日だったが、明日からしばらくは残業する日が多くなりそうだ。
昨日から新しい作業をプロパー社員のリーダーから指示されているが、内容すらろくに整理されていない状態で丸投げされたから。
仕事をしているフリをして毎日をなんとかやり過ごすのは決して悪くない。サラリーマンなのだから。
だが、そんな気持ちに慣れない自分がいるが、春のせいだからなのだろうか。