冬が好きだからといって寒さに強い訳ではない。というか、年々弱くなっている気がする。
自分が生まれ育った実家は昭和29年築。いかにも戦後建てられた家らしい造りで台所は土間だったし、隙間風が入ってきたので本当に寒かった。
しかも、トイレと浴室は母屋の外で別棟だった。冷たい雨が降っていても雪が舞っていても、風呂に入るためには一旦は外に出なければならなかった。脱衣場所は暗くてあたり前のように暖房もなかった。
それにしても今年の冬は例年以上に寒さが気になっている。秋が遠ざかるにつれて雪遊び以外の外出はかなり減ってきている。
蒸し暑い夜でも凍てつくような深夜でも街中の繁華街を千鳥足で歩いていた自分にちょっと不思議な感じがするほどだ。
自分がお酒に弱くなったことが少しは関係しているのかもしれない。
ちょっと調子に乗って呑むと翌日に残ることが増えてきた。
そんなこともあって、積極的に飲み会に参加したいとも思わなくなってきた。
素敵な女性が居る場ならいざ知らず。さえないオッサン同士が集まっている会がほとんどだから。
それでも、昨日はある会に参加した。自宅最寄りの駅から電車を乗り継いで木曽川を越えて岐阜市にまで出かけて。
昔から、岐阜市駅周辺でグラスを傾けるのは好き。名古屋市内の繁華街よりも魅力的な店が多いこともある。
16時が集合時間だったので14時を過ぎると出発の準備を始めた。
乗車時間だけでも片道で1時間以上。ホームでの待ち時間も考えて、アウターのポケットに文庫本を一冊入れた。その文庫本は村上春樹の『やがて哀しき外国語』。
熟考して選んだわけではなかったが行き帰りどちらの電車内の雰囲気にもどことなくマッチしていたので久しぶりに本の世界に入り込んで読めた。
今までに何度も読んでいたはずの文章だったのに新鮮さを感じた。
自分が思っていたよりも40代の作者はそれほど大人びでもないように思えて心地よかった。
50歳近くになったのに大人になりきれない自分が慰められた気がした。
休日飲み会あるあるだが、早めにお開きにするために乾杯時間を早めた昨日。解散時間はやっぱり遅くなってしまった。
おかげで今朝は起きるのが少しだけ辛かった。それはそれで悪くなかった気もする。