会社員生活もあと少し。
一週間後には会社で退社手続きをすることが決まっている。
感傷的な気持ちが沸いてこないのは、今の会社に愛着がないからなのだろう。
自分が辞めた職場の中には、よく思い返す所もあればほとんど記憶に残っていない所もある。
仕事の内容よりも、素敵な女性に出会った職場や現場のことはわりと記憶が残っている気がする。
こういうことが素直に書けるようになってきたのは、年の功なのだろうか。
来週の今日の午後には、いくつかの書類に何かしらの記述をして、健康保険証を返さなければならない。
何回も会社を辞めているが、退社の手続きは煩わしい。
退社してしまえば、その日のことは何も思い出さないのだろうが。
次の仕事の準備をしなければならないのだが、はかどっていない。
四月の後半から六月までの平日の大半は東京の品川や府中などで連泊しながら仕事をすることが決まっている。
やっとホテルの予約をはじめた。
契約上、宿泊費として支給される上限は11,000円。
この金額でホテルを探すのはなかなか厳しい。大阪や京都ならともかく、東京だと23区外でも。
物価の高騰はこんなところにも影響していた。
予約したホテルは仕事場へは歩いて行けない所がほとんどだ。
今までの経験上、東京で通勤時間に電車へ乗るのはあまり気が進まない。
名古屋なんかとは全く混雑状況は違っていて、何回乗ってもびっくりする。
新幹線に乗ることも増えるのでエクスプレスカードを取得したが、それだけでは新幹線には乗れない。
カードと自分の情報を紐付けて登録したり、スマホにアプリをインストールしたりするのも面倒だった。
それらの準備ができているかの確認とエクスプレス予約の練習するために、来週は日帰りで京都へ出かけるつもりだ。
来月からは講師の仕事をする。
そのために独学しなければならないのだが、進捗はさっぱり。
誰かに強制されるのは嫌だが、意志薄弱なので押し迫らないと駄目なのだろう。
会社を辞めてフリーになれば気楽になれると考えていたが、その日が近づいてくるといろいろなことが気にかかってきた。
はたして、自分は組織に所属することなく、食っていけるのだろうか。
どこかに金のなる木があるのならば、手に入れたくなってきた。
だが、自分のような怠け者だと、せっかくの木を枯らしてしまうかもしれない。