昨年からはじめたIT講師。
今年は二年目ということもあるだろうが、昨年よりは上手くやっていると自分では思っている。
自惚れているだけで、受講生や同僚の講師たちからの評価は散々なものだったりして。
それでも、今年の方が少しだけ余裕を持てているせいか、受講生たちのいろいろなことに目が行くようになっている。
一つ目は会社毎の新入社員の質。
入社偏差値による会社毎の新入社員研修の影響の差は少ないように感じている。
もちろん、入社するのが難しい会社の社員の方が、新しく学んだ内容を理解するのは早い傾向はあるが、それほど際立っている訳ではない。
それよりも、同じ会社の社員同士の方が差を感じる。同じ採用基準で選ばれたはずなのに。
二つ目は昨年の受講生との差。
これは明らかな差がある。
昨年に10日登壇した会社に今年は一番多く登壇しているので、この会社の新入社員たちを見ていると、どうしてもそう考えてしまう。
今年の新卒は売手市場だということもあるだろうが、それよりも時代の流れの影響を強く受けている気がする。
そのことをベテラン講師の何人かに聞いたら、年毎に下がっていっている傾向のようだ。
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昔から年寄りたちは小言のように言ってきた。時代が進むことによって日常の暮らしが便利で楽になっているから、若者が堕落するというようなことを。
だが、自分の考えは少し違う。
確かに現代は新しくて便利なものが次々と登場はしているけれど、日常的に見聞きする情報も増えたために、判断しなければならないことが多すぎて人は疲れて摩耗しているのではないだろうか。
オフィスワーカーの仕事の密度は過去最高を更新し続けていると、ある専門家が書いた文章を読んで納得したことを覚えている。
ペーパーレスが叫ばれるようになってかなり経つが、未だにオフィスからは複合機どころか、ファックスだってまだまだ目にする。
会議の度に資料を紙で用意している会社も少なくないだろうし、若い社員に電話番をさせている会社すら存在するらしい。
ただ、それでも講義で触れ合っている新入社員たちの褒められないレベルのスキルがいくつかある。読解力、文章力とパソコン操作だ。
デジタルネイティブと呼ばれる彼ら。デジタルコンテンツに囲まれて育ち、すでにスマホがあった時代に生まれた弊害だろう。
自己紹介を含めて彼らの余暇の過ごし方を聞いていると、読書なんてほぼ聞いたことがない。
文章を読み解く力が身につかないのは当然だろう。
他人とのコミュニケーションはチャットツールを使ってきた彼ら。
文章を書く機会の頻度はどれくらいなのだろうか。上司へ数件のメールを書くだけで四苦八苦している新入社員も多い。
パソコンの操作レベルは壊滅的だ。
ノートパソコンだとマウスを使おうとしないし、デジタルネイティブな彼らにとっては、『ブラインドタッチ』は悪い意味で死語なのだろう。
システムエンジニアにとって、メインの作業ツールはパソコン。
エンジニアが道具を使いこなすのは必須だと考えている自分は彼らから見たら老害なのだろう。
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