昨日は仕事の都合でお昼休みを20分ほど遅れて取った。あるラーメン屋に行くことに決めていたが、待たされることをある程度は覚悟していた。
そのお店はチェーン店ではあるが無化調を売りにしているラーメン屋で温麺だけでなくつけ麺も美味しくて、今まで訪れた他の店は流行っていたからだ。
だが、今の現場に来てから大須店は訪れたことがなかったのだが、久しぶりにそのブランドのラーメンを食べたくなってきた。
今まで訪れた店は入口付近に券売機がある。店内の様子を伺ってから食券の購入を決めるつもりだったが、すぐに券売機にお金を投入した。店内は閑散としていたからだ。
迷いながらも塩ラーメンと銀シャリを選んでカウンターに向かった。
すると目の前で左手の引き戸が開いて見慣れた男性が現れた。現場の会社の社長だった。どうやらお手洗いを利用していたようだ。彼はちょい悪親父風の出で立ちで、短髪と顎鬚で決めているが両方に白いものが混じっている。スーツも社長だけあっていつもそれなりのものを着こなしている。
一言挨拶をして通り過ぎてカウンターの端に座って、店員に食券を渡した。文庫本に目を通していたら、抑えめの声だが聞き覚えのある声がする。声が聞こえる方を見るとちょい悪親父の向こうに女性部長が座っている。すぐに視線を戻した。
しばらくすると銀シャリとラーメンを店員が目の前のカウンターに置いた。本を読んでいたときは物語の中に入り込めたので2人の話し声を気にしないですんでいた。だが、食べはじめるとどうしても彼らの気配が気になってくる。
暴論かもしれないが、男女2人きりで焼肉屋とラーメン屋に行くのはそれなりの関係であると思わざるを得ない。
しかもボックス席で向かい合って座っているのならまだしも、簡素なカウンターの席で寄り添っているように見える。彼女の話し方には彼への親密感を感じた。自分の妄想が走り出す。
副業先で身に着けたスキルとして、カップルで訪れたお客がどのような関係であるかを見抜く能力だ。
働きはじめたころは、仕事に余裕もないためにそれほど関心もなかった。仕事にある程度慣れてくると一緒に働いているパートの女性たちはそういうことを話題にすることが多いので自然と鍛えられた。
観察していると2人の座り方、お互いの目線や表情、話し方のリズムなどである程度は推測できる。今では余裕がある時に入店してくるカップルがどのような関係かを自然に分析している。
自分が食べ終わるころになると、森高千里の『私がオバさんになっても』が有線で店内に流れ出すと、自分の妄想が加速していく。笑いを堪えるのも大変だった。もちろん馬鹿にした笑いだ。
横目で見ると2人ともまだ箸を使っている。自分よりも先に食べはじめているのに、どれくらい時間をかけているのだろう。麺がのびきっているのは間違いないが、そんなラーメンでも彼らにしかわからない調味料かスパイスのおかげできっと美味しいのだろう。
曲が終わると何もないように彼女たちの後ろをすり抜けた。次はEvery Little Thingの『Time goes by』のイントロが始まったが、Aメロに差し掛かる前に店をでた。
今までの記憶を辿っても彼らが2人きりでお昼休みに出かけることを見たことはない。帰社時もそうだ。彼らだけで一緒にいることさえ、初めて見たが外注はともかく自社の社員たちには気がついている人間はいるのだろうか。
自分が先に事務所の自席に戻っていると先に部長が、それから5分ほどしてから社長が戻ってきた。
その様子を見ているとそれなりにまわりに気を使ってはいるようだが、自分に今2人のことをこのblogに書かれてしまっている。
職場で魅力的な女性がいたら自分でも気になるし楽しみのひとつになることは間違いないが、職場恋愛にはどちらかというと嫌悪感*1を抱いている。
ましてや上司と部下の火遊びなんてとんでもない話だ。考えただけで気持ちが悪い。
自分はまだしばらく、そんな鹿馬鹿しくふざけた環境で仕事を続けなければならない。
女性部長はプロパー社員たちにも好感をもたれていないことがなんとなくわかってきたが、社長はどうなのだろう? 今回のことで自分は彼に対する好感度はかなり下がった。
英雄色を好むと言われるし、遊び人だったら女の数は甲斐性なのかもしれないが、自分だったら遊びとしてもあの部長は選ばない。
スタイルが悪い訳でも、顔が我慢できないほど残念ではないが、なぜなのか。
役職がそうさせているのかもしれないが、対して仕事も出来ないくせに強気で押しつけがましいと彼女のことを感じているからだろうか。
ひょっとしたら、好きな男と2人になったらツンデレになるのかもしれない。そこまで行くと自分の妄想を止めるのはもう難しくなってきた。
ちなみに部長はスレンダーなせいかグラマラスではないのでタイトルとはまるで違う。
*1:ヒガミ?