目が覚めると花粉症より、筋肉痛よりも真っ先に気になった苦痛があった。それは胸の疼き。
昨日、スノーボードで転倒した際に強打した部分が、一夜経っても症状が緩和されなかったからだ。若干強くなった気さえした。
昨夜ベッドに入った時も、仰向けになっても寝返りをうとうとしても痛みを感じたので、眠れないかもしれないと考えていたら、いつの間にか眠りに落ちていた。
目が覚めた後にベッドでまどろんでいても、症状が治まるはずもないので、痛みをこらえて起床した。
簡単な朝食を済ませて、近所の整骨院で診察を受けることにしたが、移動手段で迷った。その整骨院までは自転車で行くことが多いのだが、自転車のサドルを跨ぐ時に、痛みが走りそうだったからだ。ペダルを漕いでいるときに、激痛に我慢できなくなって、自転車毎転倒してしまう危険性もある。
車に乗るほどの距離でもないので、歩いていくことにした。
今朝の早朝はそれなりに冷え込んでいたようだが、自分が診察を受けるために家を出た10時ごろは風もなく、穏やかな陽気だった。薄いシャツにジャンバーを羽織れば、充分なほど。
ただ、一歩足を動かすだけでも胸に痛みが走るので、背中を丸めて縮こまり、のろのろと足を動かした。
整骨院に着くと、朝から院長が別件で外出していたために、診察を受けるまでに30分ほどは待たされた。診察室の長椅子に座っているだけでも痛みを覚えたが、患者はただ待って治療を受けるしか選択はない。
診察室で先生に症状を聞かれたので、格好をつけずにスノーボードで怪我をしたことを正直に話した。
患部がかなり腫れていて、肋骨にヒビくらいは入っているかもしれないが、骨折の可能性は低いというのが先生の見立てだった。
治療は患部や患部に近い部分を触れることは少なく、主に背部の施術が中心だった。肋骨が背骨に繋がっているので、そちらのケアをすることによって腫れている患部の腫れや痛みが和らぐらしい。
確かに背中や首など、様々な部分を触れられているうちに痛みが、多少はマシになった。
それが証拠に、帰宅時には背筋を伸ばして歩くことができたほどだ。自宅近くで保育士に引率された保育園児が歩道を歩いていた。怪我も病気もなければ、今日の陽気は散歩に相応しい陽気だろう。
帰宅してすぐに自分も、昨日一昨日と二日間使ったスキーとスノーボードのブーツを玄関先で陽に当てた。