淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。広く浅く、そして薄い視点で気楽に書いてマース。

あの時の悲劇はこの先の喜劇に

 会社員として社会に復帰するまで数日となった。3月まで勤めていた会社を退職したとき、会社員になるつもりこそなかったが、こんなに長く休みを取るはめになるとは考えてなかった。
 その時には、自分が思い描いていたプランはあった。

 住宅ローンを完済したら一度会社を辞めることは、長い間ずっと考え続けていたことだった。
 実際に住宅ローンの支払いの目処が立ったころから、会社を退職するだけでなく、自分に関わる様々なことをリセットしたいと思うようにもなった。
 別居状態になっている妻との関係を整理することまで視野に入れたが、娘のことを考えて今のままの状態、籍を残したまま別居を続けることを選択した。

 主に週末や祝日などの空いた時間に副業していたラーメン屋も、本業の会社と同時に3月で辞めることを決めた。
 勤めていた期間はほぼ10年。本業として勤めていたどんな会社よりも籍を置いていた期間が長かったので、決心したときには様々な思いが飛来したが、今では決断をしてよかったと思っている。

 会社にまだ籍を残していたころ、友人の紹介からあるエージェントの話を聞くことを進められた。
 コンサルタントとかエージェントなどのカタカナのネーミングで虚業っぽいことを生業としている輩を、イメージと自分の経験からは好意的に見られなかったが、その友人が女性だったので、会うことにしたのだ。つくづく、女性には弱いと思わざるをえない。

 そのエージェントは全国規模の会社でネット広告でもそれなりの頻度で見る会社だった。システムエンジニアフリーランスで働ける仕事をあっせんすることを目的としている。
 平日のある日の夕方、その会社の営業に会った。その人物は男性で30代半ばに見えた。いかにもエージェントの営業らしく、スマートで卒が無かった。

 彼の話を一通り聞いていたらその後に、次のように切り出したのだ。紹介できる仕事はいくらでもある。ただ、そのためには今勤めている会社を辞めてから、再度話を聞きに来て欲しいと。

 彼の話をそのまま信用した自分。五月の連休までは好きなことをして過ごし、連休明けにエージェントに連絡すると、今は自分に紹介できる仕事が無いと言われた。
 今までの人生で何度もあった坂、まさかが自分の前に立ち塞がった。

 だが、その坂が目の前に現れても動揺しなかった。幾分はヤラレタとは思ったが、相手の話を聞いて決断したのはあくまで自分。問題はこちらにあるのであって、それを誰かのせいにしようとは思えなかった。
 それが証拠にこのエピソードはこのblogでも初めて綴ったし、家族どころかほんの数人の友人にしか打ち明けていない。
 その話をした時も、そんなに愚痴っぽくはなかったはずだ。

 そのころから、自分の考えや価値観が急に大きく変わり始めたのではないだろうか。とにかく慌てないこと、悩むのではなくてしっかりと自分自身で考えることを、心掛けるようにした。
 仕事を探していても上手くいくことは少なかったが、不思議なくらいに悲観的になることはなかった。
 以前、blogで書いたことだが、世話になった人に請われて神戸の病院まで面接に行ったが、話が上手くまとまらなかったことなどがあっても。

 そのころから、まわりから落ち着いた、大人になった、つまらないなどと自分の内面が変わったことを他人から言われることが増えてきた。
 そのことについて分析すると、自分の好きなこと、そのために欲しいことや大事にしたいことを整理でき、はっきりとさせたことが大きかったのではないだろうか。

 季節で一番夏が嫌いなので、今までの自分ならば夏に自由な時間があっても、それを持て余したかもしれないが、今年の夏はそんなことは全くなかった。
 所属している同人誌の創刊25周年祝賀会の裏方として様々な手伝いをさせてもらったり、新たに興味を持った写真撮影に明け暮れていたら、時間が過ぎるのはあっという間だったし、まだまだ好きなことをするには足りないほどだ。
 一昨日、娘に会った際に言われて改めて気がついたことがあったほどだ。今年は夏にスキーをしたの、と。今年はまだ、ウイングヒルズ白鳥リゾートのサマーゲレンデで滑走していないし、その計画もない。
 夏嫌いな自分にとって、こんなに夏が早く過ぎたと思えたのは何年ぶりだろう?

 エージェントに梯子を外されたときに、今の自分を全く想像できていなかった。
 考えたら、何故あの時に誰かのせいにしたり、まわりにほとんど愚痴らなかったのだろう? 今思い返すとあの時からすでに、今の自分に変わり始める兆しがあったのかもしれない。

 最後に今日のこの記事のタイトルは自分が好きな芸人、ウーマンラッシュアワー村本大輔が書いているblogのタイトルになぞらえた。
 再掲になるが、その記事も併せて以下に紹介して筆を置こうと思う。
note.mu

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今日の写真のモデルはMumeiさん。