仕事中、最近の自分はどうも口数が多いらしい。本業であるシステムエンジニアの業務中も、週末の副業先でも。
本業では自席の向かいに座っているエンジニアから、空気を読まないヤツだと思われているようだ。
先週の金曜日の終業後に職場の人間とグラスを傾けているときに、そう聞いた。
また、副業先では昨日の仕事の終わりがけになった夕暮れ時に同僚としゃべっていると、社長からどやされた。
どちらも褒められた話ではないかもしれないが、自己評価はちょっと違う。少しずつ失っていた自分らしさを取り戻しつつある気がしたからだ。
子供のころから身内や近所の人たちから、口から産まれてきたと散々に言われて育ってきた自分だから。
本音を言うと、職場でただ机を並べているだけの人間にKYだと言われたのは、はなはだ心外。向かいに座っている彼は自分より1か月遅れでプロジェクトに着任したこと、家庭の事情で毎朝30分ほど遅れて出勤するのでいくらかは気後れがあるかと思って、こちらが気を使って積極的に話しかけていたからだ。
ただ、自分が騒がしくしたいから話しかけていた訳ではないのに、親切心は他人にはなかなか理解されないものだ。
昨日、副業先で社長から怒られた時に話し相手になってくれていた人物は地元公立大学の大学院生。外見はさわやかでかつ、頭も良いなんて自分とは不釣り合いなはずだが、会話をしていると何かと楽しい。
そんな彼とはここ最近、話が弾んで呑みに行く約束を交わしていたのだが、その約束は昨日に果たされた。
仕事後の夕方に、名古屋城から栄まで二人で歩き、最初は錦の海鮮居酒屋でグラスを傾けた。
自分と年齢差は干支二回りほどあるのだが、職場では彼の方が1か月先輩。そんな彼と過ごしたのは、実に楽しかった。
先日、豊田のフィリピンパブで散財したのとは偉い違いだった。
23歳の彼は薄汚れたオジサンである自分とは、当然のように多くの違いがある。
グラスが進んで盛り上がってくると、その差を少し埋める方向に話は流れた。彼は夜遊びをしたことがないと聞いたので、経験してもらうことにしたのだ。
最初はフィリピンパブが軒を連ねている東新町まで歩いて行き、いずれかの店で遊ぶことを考えたが取りやめた。
真面目な大学院生がいきなり、フィリピンパブで夜遊びをするのは、あまりにもハードルが高すぎる気がしたからだ。
フィリピンパブより、数段穏やかな店で呑むことにした。キャバクラでもなく、自分がかつてよく遊びに行っていたガールズバーで。
考えたら、自分もその店の扉を開けたのは数ヶ月ぶりだった。カウンターに二人で座ると顔見知りの女性が接客してくれたのだが、自分のテンションはここ最近なかったくらいテンションが高かった。
20歳以上も歳下の友人を馴染みの店に連れてきたのだから、少しでも大人ぶればいいものの、そんな考えは少しも頭になかった。
それでも、歳下の彼は楽しんでくれたようだし、自分もここ最近のお酒のなかでは断トツに楽しかった。
これでもうしばらくは、誰と呑んでもつまらないとは言わせない……?