令和初めての元旦はゆったりと過ぎていった。
8時くらいに目が覚めたので、Amazonの動画サービスで『男はつらいよ』の第一作を観た。
朝食に雑煮を食べた後、近所の神社で初詣。例年よりも参拝客が少なかったのが印象に残っている。
前日までと違って急に冷え込んだことが理由なのかもしれないが、何か他の理由もあるのかもしれない。
帰宅してから夕方までは、自宅のTVとパソコンがある部屋を行き来しながら過ごした。
年末に録画してあったバラエティ番組の特番を見ながら昼食に雑煮を食べたり、撮影データの現像をしたり、コーヒーを飲みながらサッカーのNHK杯をTV観戦したりして。 夕方には実家に向かった。寒かったので、車で行くことも考えたが、やめた。
自分と血の繋がりがある人間が今は三人。元旦くらいは少なくなってしまったその中の二人に、つきあって呑んだ方がよいと思ったからだ。
最近、実家で食事をしても呑まないことの方が圧倒的に多い。お酒を呑んでしまうと車で帰れなくなってしまうし、必然的に実家での滞在時間も長くなってしまうし、会話の量も多くなるからだ。
母の相手だけであれば育ててもらった恩義もあるので、それなりに会話もあわせる。
ただ、弟だけは苦痛だ。自分が独身のころは二人で外へ一緒に呑みに行くようなことも珍しくなかったのだが。
最近の弟とグラスを傾けると嫌な気分になることの方が多いからだ。
昨夜もいつものように、そんな流れになってしまった。
自分が実家に着くとすぐに、弟も仕事先から帰ってきた。
元旦から仕事に追われて大変だとは思うが、それも彼が選んだことだし、それなりの対価も充分にもらっているように思う。
車から降りるなり、弟本人もそんなことを自虐的に口にしていたのだから。
母の手料理を肴にしてビールを呑んでいるころは、猫カフェが話題になっていた。自分と違って弟は行ったことがあったからだ。
二人で呑んでいたアルコールが日本酒になるころには、話題が弟の仕事のことになっていた。
嫌な予感はしたが案の定、弟はお酒に呑まれてしまった。
彼の愚痴を聞いていたらあることが気になったので、そのことについて自分と母がツッコミを入れたからだ。
そのツッコミとは、弟が組織上の立場を利用して我田引水しているように感じたからだ。
場が白熱したのを感じた母が話題を変えるようにしても、何度も弟がその話題に引き戻したので、余計にたちが悪い。
その度に弟が、母と自分から糾弾されたような形になってしまうからだ。二人が様々な角度から弟の話を聞いてみても、筋が通っているようには思えなかったからだろう。
ちなみに、弟には毎日でも続けてお酒を呑みたい友人がいないらしい。一番の理由は、友人だと気を使ってしまうからだとか。
兄から言わせれば、少しは身内にも気を使って欲しいし、もう少しだけ友人に甘えてもいいように思うが、どうだろう?
また、自分の話を黙って聞いて欲しいだけならば、きちんと対価を支払ってそのような場所に行くべきだろう。クラブ、ラウンジ、キャバクラやガールズバーなどに。
兄とは違って、家のローンを支払わずに実家にパラサイトしていることもあってか、充分に貯蓄があるのだから。