年が明けて現場に初出勤した日、いきなり自社の営業から電話があった。
電話をかけてきた相手の名前を見て、お正月気分は吹っ飛んだのだが、電話の内容が本当にくだらなかった。
年内二日間の現場での勤務実績を示す証拠を、早々に送れということだったので。午前中までに無いと締めに遅れるからと、営業は口にした。
今の会社に入社してから三つ目の現場だが、そんな話は初めて聞いたことだった。
現場での上位会社の管理者まで相談すると、なるべく急いで処理をしてくれるとは言ってくれた。
管理者は次のような言葉を続けた。今月末はどうなるのかと。今月の月末、1月31日は金曜日だからだ。
勤務実績を証明する書類を受け取った後、営業に電話した。その書類をどうやって送付するかを相談したのだ。
現場によっては、オフィスのファックスなどを使わせてくれるところもあるが、今の現場では許されていない。
今までの経験上、同じような環境で働いた場合は近くのコンビニのファックスを利用することも珍しくなかったが、その手は使えなかった。歩いて行ける距離にコンビニがないからだ。
あと、自分が思いついたのは名古屋支店まで自分が直接届けるくらいだったが、営業は他の案を提案してきた。
書類を写メするように言ってきたのだ。これには、驚いた。
会社の売上げや自分の給料に関連する書類を、個人の所持物であるスマホのカメラで写せと言ってきたからだ。
セキュリティや送信するためにかかるパケット代の負担の是非などの前に、会社としてのモラルはどうなっているのだろう? 自分のような社会性が低い人間に、モラルなんて言葉を使わせるとは、呆れるほかない。
自分が送ったメールは、そのまま経理担当の社員に転送されたらしい。転送先の社員からお礼のメールが自分に届いたからだ。
どのようなリアクションを取ったらいいかがわからなかったので、そのままにしてあるが。
自分が身を置く会社の従業員は800名超。零細企業とは言えないはずだが、内部統制や情報管理はどうなっているのだろうか。 日本人以外のビジネスマンに尋ねたいことがある。
自分の携帯、またはスマホの番号を仕事で接するだけの人たちに教えているかどうかを。
同じ会社、同じ組織に所属しているのならば、釈然としないが、なんとか我慢しなければならない境界線なのかもしれない。
だが、自分が働いている業界では、もっと驚くことが慣習化されている。
自分が所属している会社から見て、上位の会社の人間に電話番号を聞かれることが普通になっているからだ。
自分にとってはこの習わしが苦痛でしかない。プライバシーの観点から考えても、時代に即していないような気はするが、どうだろう?
起きては欲しくないような刑事事件でも発生しない限り、このような悪習は残っていくのだろうか。
ちなみに他の会社の美女課長や美女部長から、お誘いの電話をもらったことは一度もない……。