参加できるかできないかは別にして、呑み会の誘いを四件、受けている自分。時間と場所が決まっていないものもあるが、日付は全て決まっている。
また、そのうちの三件は仕事関係の人脈。しかも、一件は金曜日だったのに断らなかったのは、我ながら珍しい。
一件は自分の歓迎会を兼ねているが、タイミングが悪すぎる。仕事のせいで主賓である自分が参加できない可能性が高い。
送別会でもあるので、自分だけが主賓ではないので仕方はないが。
主賓であるが参加できるかどうか怪しい会の幹事は、客先から直接仕事を受けているSIerの社員。わかりやすく説明すると、一次請けのプロパー社員だ。
その会社は数年前、テレ東系のビジネス情報番組に残業をしない会社として取り上げられていたのを覚えている。
その会社の社員を間近で観ると、番組とは乖離していたが。こういう番組がTVに不信感を抱かせている一因なのだろう。
同じ番組で『株式会社林原』が取り上げられた直後、不正経理が世間を賑わせたのがギャグのようにも思えた。 金曜日の呑み会は少しだけ予感していた。
今の現場では毎日、社員食堂で食べている。というか、お客の社員だけでなく、客先で働いているほぼ全ての従業員もそうだろう。
事務職はオフィス内の自席では飲食禁止になっているからだ。食堂以外の飲食可能なスペースは限られていて、足りていない。
また、付近にはお昼休みに行って戻って来られる範囲に、食事が食べられる店はない。
そんなこともあって、珍しく他人と一緒にランチを食べ続けている。
たまに自分と一緒にランチを食べる男性のメンバーが金曜日の呑み会を催した。
数日前に一緒にお昼を囲んだ際に、彼は周りの面々を呑みに誘ったのが印象深い。誘われた人たちが乗り気ではなかったからだ。
その理由もある程度は理解できる。遠距離通勤者が多いからだ。
彼が一番グラスを傾けたかった人物に自分は気がついていた。その人物とは、自分の左隣に座っているエンジニア。
契約上、自分が所属している会社から上前をはねている会社の現場リーダーだ。二次受け会社の現場責任者でもある。
左に座っている彼から聞いていた。呑みに誘った人物がかつては上司だったことを。
お酒が好きな人がかつての部下と再会したならば、一緒にグラスを傾けたくなる気持ちはなんとなくわかる。
だが、左の彼は下戸なのでそんな気持ちがわからないようだ。自分がかつての上司の気持ちを代弁しても。
お酒が飲める、飲めないだけでも考え方に差が出てしまう。人と人とがわかり合うのが難しい訳だ。