昨夜はオンライン飲み会をした後に、ダラダラとTVを点けたままリビングで横になっていた。見ていた番組は『朝まで生テレビ』。
だが、すぐに嫌になってきた。
久しぶりに見た司会の田原総一朗の劣化ぶりは相当だった。自分も50歳になろうとしているので、彼が歳を取ったのは当たり前。
それでも、そのことをどこかで受け入れたくはない自分がいたように思う。
最後にこの番組を見たのはいつだろう? 10年以上は見ていなかった気がする。
夜更かしをしたあとだったのにも関わらず、午前中には起きて朝食を食べた。
朝は風も弱かったので1時間ほど散歩した。自宅からある川の堤防を川上に向かって。
先週末は川を下って歩くと人は多かった。逆方向に足を向けると今日は、人が少なかった。 二つ目の橋の手前で引き返すことにした。来た道だと退屈なので、堤防を離れて裏路地に足を向けた。
路地を歩いているといくつかのコーポの前を通り過ぎた。
コーポの女、というキーワードが心に浮かんできたが、未だかつて独りでコーポに住んでいる女性の部屋に入れてもらったことはない。ウエットな妄想をただ持っているだけだ。
白昼に似合わない妄想を抱きながら歩いていると、市営住宅の前に差しかかった。
その市営住宅にはむかし、知り合いの女性が住んでいた。今から20年以上も昔のことだが。
彼女とは小説教室で知り合った。互いの歳も近かったし、教室に入った時期もほぼ一緒だった。
何度かグループで呑んだり、バーベキューに行ったこともあった。
自分のまわりの男性からは人気があった彼女。
自分は彼女を異性として意識することはあまりなかった。 彼女の足が気になったからだ。女性の足が気になるのはどうやら血筋らしい。
父方の祖父が死ぬ前の最後に自分に語った言葉は、『あの看護師は足が太い』。
聞いた時も、祖父が死んでから20年以上たった今もそのことを思い出すとげんなりしてくる。
祖父だけでなく、父も入院していた看護師のことをよく話題にしていたように思う。
自分もそうなるのだろうか。生者に残す言葉が看護師についてだったら、娘にはどう思われるのだろう?
彼女はその後、生まれ故郷に帰って教師をしていると風の噂に聞いたが、それ以上のことは知らない。
ちなみに市営住宅に住んでいた独身女性をもう一人だけ、自分は知っている。
もう一人の女性とは自分の妻だ。そのことももう、20年近く前の話……。