淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

街の風景

 一ヶ月ぶりに自分が所属している会社の人間に会った。次の仕事の候補の話と客先への面接のために。
 待ち合わせ場所は名古屋駅、日時は昨日の16時過ぎであることが、前もって営業からメールで知らされていた。

 自宅から名古屋駅へ公共交通機関で向かうにはいくつかのルートがあるが、どのルートを選んだとしても乗車率が高い乗り物を使用しなければならないので、車で向かうことにした。
 名古屋市内で今、公示地価が一番高いのは名古屋駅周辺ではないだろうか。駐車場を選ばないと料金もそれなりにしてしまう。

 昨日、都心に向かって車を走らせていると、胃が疼き出してきた。自分の会社の人間や同じ業界の人たちに会うことを自分の身体は拒絶していたのだろう。
 駐車料金を考えて名古屋駅から少し距離のある駐車場に車を停めた。待ち合わせ場所まで歩いていると、ある光景が気になった。

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絵的にはあまりいいもんではない気がします。

 ビルの狭間の公園の隅に、周辺で働いていると思われるオフィスワーカーが集まっていた。陽が少しは傾き始めていたが、30℃は軽く超していただろう。
 暑さの中で煙草を手にしながら。みっともないとは思ったが、彼らのことを糾弾している訳でもないし、するつもりもない。
 いびつな形で物事の規制をしても、意味がないということを改めて確認できたと思っているだけだ。

 待ち合わせ場所に現れたのは二人。担当の営業と名古屋の支店長だった。
 営業も好きではないがまだマシ。支店長のことは嫌いだし、全く信用していない。
 お客の会社に訪れる1時間も前に自分を呼び出したのは、そんな支店長の思惑だとすぐに悟った。

 できるだけ密になるのを避けたいのに、地下街にある喫茶店に自分は連行された。入り口に消毒液が置かれていたが、消毒したのは自分だけだったのには驚いた。自社の人間と一緒の時だけでなく、お客の前でもそうなのだろうか。
 こんな気遣いも危機管理も出来ていない人間に、自分の人生の一部が委ねられているとは情けない。

 最初に営業が次の仕事についての形式的な話が済むと、ボスが話し出した。
 建前と回りくどい表現を羅列して。
 簡単にまとめると、大阪や東京への転勤に対応できるかの確認と、今月中に自分の仕事が見つからなかった場合には月末にもう一度自分を呼び出す必要性があるとのことだった。
 肝心なことをはぐらかしているような会話の運び方だったので、こちらから切り返した。解雇もあり得るのか、と。

 自分が簡潔な言葉を口に出した瞬間、ボスの顔が歪んだ。
 そこからの彼の言葉は長かった。はっきりとした覚悟もないのに、こちらを感情的にさせるような言葉を並べてくれた。
 会社を代表することになる彼と、『言った、言わない』の下らない揚げ足取りをすることもあり得るかもしれない。

 その後に行われたお客との面談は無難に終わった。担当の営業も珍しく褒めてくれたほどだった。
 ただ、その仕事の開始は来月から。
 お客に望まれたとしても、そのころの自分はどうしているのか。 会社から自分が追い立てられていることだって考えられるし、自分も少しは選択肢を持っている。
 そんなことを考えながら駐車場へ歩いた。暮れゆく初秋の夕日に染まりだした街の中を。

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今日の写真のモデルはセイナさん。