7時前に家を出て、19時前に帰宅した。ほぼ12時間、家を空けていたことになる。
一日のうちに半分しか自宅に居ないのであれば、分不相応なのに無理をして買ったものに意味を見いだせない。
自分の人生で一番間違った選択は、家を建てたことだとつくづく思う。苦労してローンを払いきったが、その代償はあまりにも大きいと思う。それだけのお金があればと、どうしても考えてしまう。
サラリーマンならば家を購入するべきではないというのが昔からの持論だ。
半年ぶりのオフィス出勤。しかも、思い出せないくらい久しぶりの車での出勤。調べたら最後に車で通勤したのは7年も前のことだった。
朝は余裕を持って家を出たので焦ることはなかったが、帰りにハンドルを握っているとウンザリしてきた。定時の17時を過ぎるとすぐにオフィスを飛び出したのに。
仕事中にプロパー社員同士が朝の通勤時の渋滞具合を話していたのだが、彼らの話題としては日常的なことなのだろう。
新しい現場での初日の今日は、作業らしい作業はしていない。
客先の会社の説明や就業ルール、お手伝いするチームが担当しているシステムや自分が担当することになりそうなことなどの説明を受けたことが主だった。
面白味を感じることはなかったので、ただただ退屈しか覚えなかった。一日中、睡魔と戦うのが大変だった。
流行病が収束していない状況であることをいつくかのことで感じさせられた。
オフィスがあるビルの入り口で出勤時に全員が検温を受けること。社員食堂を使用する時間が従業員の所属単位で決められていること。社員食堂で座った座席を記録しておくことなどなど。
執務中に全員がマスクをしているのにも違和感を覚えなくなったのは自分だけだろうか。
もし、一年前の自分がその光景を見たらどう思うのだろう?
帰宅するとすぐに浴槽にお湯を張って入浴した。Bluetoothの防水スピーカーを持ち込んで音楽を聴きながら。
窓を開けると暗闇に秋の雨が静かに降っていた。露天風呂ではないけれど、冷気が顔に当たるのが気持ちよかった。
そのまま、風呂上がりに缶ビールのプルトップを開けた。発売されたばかりの糖質ゼロの商品だったので味は気になったが、自分を少しだけ癒すことができた気はする。