今朝、車のエンジンをかけると聞き慣れない警告音が鳴った。ナビの画面に見たことがないような表示を確認するとETCのエラー。
車を走らせながら、交差点で止まったときなどにETCカードの抜き差しや裏表を変えてみたが、調子は悪いまま。
仕方がないので毎朝通る猿投グリーンロードの料金所では有人のゲートを通った。
係員にクレジットカードを手渡すと使えないと言われた。ETCカードは無いのかと聞かれたので差し出すと現金を使わずに通ることはできたが、気持ちはすっきりしなかった。
現場に近づくにつれて、なんで出勤してしまったのかと後悔しはじめた。通勤先の場所が場所だけに、車の故障を理由にして休めばよかったと思えてきた。
車の調子が悪かったのは嘘ではないので、ズル休みにはならないはず。有給休暇は十分に余っているし、自社からは残りの休暇を速やかに消化するようにメールでの通達が届いたばかりだったこともある。
仕事中はいつも以上にモチベーションは上がらず、何度もETCのことを考えた。前の車も含めてETCの機械が壊れたのは初めてのこと。
しかも、今の車は中古とはいえ、購入してからはまだ一年と少し。車のローンもまだ残っている。そんな状態で、さらに車にお金がかかるのは正直痛い。
自分のような怠け者の貧乏人が車を持つことが分不相応だと改めて思えてきた。
なるべく早く帰宅して、何かとお世話になっている地元の自動車修理工場に持ち込むことにはしたが、営業時間内に間にあうかが気になった。
故障した部品などを取り寄せるにしても、なるべく早く手配した方がいいからだ。
仕事後、現場の駐車場で車のエンジンをかけたが、やはりETCカードは認識されないまま。警告音とナビの表示は相変わらずだった。
久しぶりに帰宅時も走行料金が310円の猿投グリーンロードを走った。
猿投インターまでも裏道を選んで走り、急いだつもりだったが名古屋インターあたりで渋滞に捕まったのは痛かった。
それでも、なんとかシャッターが閉まる前に修理工場まで辿り着いた。
マスクをしたまま作業をしていた顔馴染みの修理工に話しかけると、すぐに様子を見てくれた。仕事終わりが近いので、疲れているかもしれないのに嫌な顔をせずに。
慣れたような手つきで何度かETCカードを抜き差ししてもらうと、カードは認識された。
お金がかからなかったのはよいことだが、ばつが悪かった。
自分のことをフォローしてくれたのか、しばらくは様子を見てくれた方がいいと何でもなかったかのように言ってくれた彼。
自分より少しだけ年上だが、中身はずっと大人に思えた。
明朝、車のエンジンをかけた時に警告音が鳴ったら、迷わずに休むことにしたい。