独り暮らしあるあるなのかもしれないが、果物を食べることはあまりない。
スーパーへ買い物に行っても買って帰る果実はミカンかカットされたパイナップルくらい。
自分が一番好きな果物は梨。今年は食べることもなく、旬は過ぎてしまったが。
先週の金曜日に会った友人から林檎をもらった。
バナナやミカンに比べると、皮を包丁で剥くのが面倒だし値段も少し張るので、独り暮らしになってからは自分で買ったことがない気がする。
昨夜の食後、テーブルに置いてあった林檎が気になったので、包丁で皮を剥き始めた。
平日は弁当も職場に持参しているので、自炊する日がほとんど。毎日のように包丁を使っているものの、林檎の皮剥きには思ったよりも苦戦した。
一度も皮が途切れることもなくスルスルと剥けると思っていたが、剥いた林檎の皮は途切れ途切れ。林檎の表面も凸凹していた。
皮をむき終えた林檎を切り分けている最中に、摘まみ食いすると驚いた。自分の記憶以上に甘かったからだ。
切り分けた林檎は二、三切れだけ口にして、残りはすぐに塩水へ潜らせて冷蔵庫に入れた。
今朝、一切れだけを弁当箱に入れて、残りは朝食時に食べた。
朝の忙しい時間でも甘くてジューシーな林檎を食べていると、少しだけリッチな気がしたのは何故なのだろう?
昔から運動神経は悪かったが、健康ではあったと思う。風邪などで学校を休むことは希な子供だったが、それでも体調を崩して寝込むことはあった。
そんな時に母親が摺り下ろしてくれた林檎は優しい味がしたのを覚えている。口が不味い時でも食べやすかった。
夕食時にポテトサラダやスパゲティサラダをよく作ってくれた母親。
気まぐれに、林檎をサラダの中に入れてくれた。銀杏型にスライスして。
最近はスパゲティサラダを自分でもよく作るのだが、林檎を入れたことは一度もない。
娘の離乳食をよく作っていた。フードプロセッサーやバーミックスなどを駆使して。
それでも、娘のために林檎を摺り下ろして食べさせた記憶は残っていない。
娘が好きな果物として思い浮かぶのはバナナとイチゴ。
今度、娘に会ったときに自分が林檎を摺り下ろしたことがあったのかを聞いてみたくなった。
さりげなく聞かないと、本当のことを聞き出すのが難しい年ごろになりつつある彼女から。