久しぶりにゆっくりと朝寝した。
自分が夏よりも冬が好きな理由のひとつは、ベッドで布団に包まっている時の気持ち良さ。
カーテン越しに薄い陽が差し込む中、暖かい布団の中でまどろむのはなんともいえない。
このことを楽しめるのは晩秋から春先くらいまでだろう。
お腹が空いてきたし、洗濯機の中の洗濯物も気になったので、寝室から出た。
洗濯物を干す前にあることを思いついたので、キッチンの冷凍庫からあるものを取り出してキッチン台に置いた。
洗濯物を干すためにベランダ側のカーテンを開けると、今日もいい天気。風はあまりなかったが、空気に冷たさを感じた。
明後日からは12月。冬の本番は確実に近づいている。
洗濯物を干し終わり、キッチンに戻ると冷凍庫から取り出しておいた明太子の解凍具合を真っ先に確認した。
フリーザバッグ超しに手で押さえると、まだかなり硬かった。電子レンジで半解凍することにした。
食品の解凍は、レンジなどを使って急ぐよりも、常温での自然解凍の方が味は損なわれ難いことは知っているが、朝食をすぐに食べたかったので仕方がない。
電子レンジから取り出すと、フリーザバッグ内に少しドリップは出ていたものの、明太子の解凍の具合はそれなりによかった。再度、指で押すとほどよい堅さだった。
鍋にお湯を沸かしはじめて、パスタを130グラムほど計量した。今、自宅にパスタは太さを変えて2種類を買い置きしている。
今朝は太めを選んだ。自分が作る明太子のパスタは味が濃厚だから。
お湯が沸く間に明太子をボールに移して、生クリームとマヨネーズを入れてかき混ぜた。
自分のレシピでは生クリームとマヨネーズの比率は1:1くらい。使う明太子によっても左右されるので、味を見ながら少しずつ生クリームとマヨネーズを増やしていき、いつも味を整えている。
明太子のソースができるとパスタ用の皿にサラダ菜を広げて、焼き海苔を探してキッチンハサミと揃えて置いておいた。
パスタの茹であがりが近づくと、海苔をガスコンロの直火でさっと炙った。
パスタがゆであがると、明太子のソースが入ったボールに移して絡める。この方法だと明太子はパサパサにはならない。
明太子のソースが絡んだらパスタをサラダ菜があしらってあるパスタ皿へのせた。
仕上げに焼き海苔をキッチンハサミで切りながら、パスタの上に散らした。
食べ始めると安定した旨さ。冷凍庫で忘れさられていたので少し古くなっていた明太子を使ったので、ちょっとだけ味は心配だったが。
どんなことがあってもキッチンは裏切らない。自分で作った料理は、自分の腕とかけた手間がそのまま味に反映されるだけだ。
このことは自分が好きな作家である辻仁成に教わった、小さな哲学だ。