土曜日の今日はシステムエンジニアから灯油の売人になる日。
珍しく早く目が覚めたのだが、ベッドからはなかなか出る気が起きなかった。
それでも先週の土曜日よりは少しだけ早くベッドから出た。二週続けて、営業所からの出庫がビリになりたくなかったからだ。
いつもより少しだけ家を出た時間が早かったことをいいことに、下道を選択してしまった今朝の自分。
コロナ禍の土曜日の6時台。道路はがら空きかと思いきや、自分の考えは甘かった。幹線道路を走っている車は、それなりに多かったからだ。
結局、営業所に着いた時間は先週とほぼ変わらず。当然のように、自分はまたしても最後の出庫だった。
今週から18ℓあたり40円の値上げになったので、先週よりも売り上げが落ちるかと思いきや、出足は先週以上だった。今週は特別寒い日が多かった訳でもないのに。
お客との会話から、来週の天気予報で雪が降ることを意識している人が多かった。降雪の予報も影響しているようだった。
ポリタンク四個を自社ビルの三階まで上げて欲しいというお客がいたこともあって、9時過ぎには汗だくになっていた。
最初のエリアだけはそれなりに売れたが、他のエリアまではその勢いが続かなかった。
結局、先週の売り上げに届かず、今日の売り上げは2,325ℓ。
日給なので売れた分だけ疲れるだけ。そう考えてしまうと、なんだか虚しくもある。
それでも、先週の土曜日に未収になっていたお客が、罰が悪そうに丁寧に謝ってくれただけでなく、チョコレートの差し入れをもらったりした時はほっこりもした。
住宅地でゆっくりとローリー車を走らせていると、あちこちで自家用車のタイヤを交換している光景を見かけた。
地域性もあるとは思うが、こんなに多くの車がスタットレスタイヤを持っていること、交換していたのは全て男性だったことだけでも、ちょっと不思議な感じがした。
ちなみに、ここ最近はタイヤを自分で交換したことがない。自分の技量を信じていないし、その時間を他のことに充てた方がいいと思っているからだ。
営業所に戻ると、今日の自分の売り上げについて所長は賞賛してくれた。おそらく、巡回販売の専従者たちと比べてもそれほど悪くなかった数字だったのだろう。
冷え込みの予報を考えると来週は3,000ℓも狙えるのではないかと口にした所長。
だが、自分にとってそんなことはどうでもいいこと。1,000ℓでも3,000ℓでも自分が受け取る対価は日給12,000円のみだから。ちなみに、そこからローリー車の保険代などが引かれる……。