三月最後の土曜日だった今日。朝から春らしい穏やかな日だった。冬は確実に遠のいているのを感じた。
世間では仕事の人もいただろうが、休みだった人も少なくはなかったはずだ。
今日は絶好のお花見日和だったのではないか。
予報によると明日は雨。見頃だった桜が雨で散ってしまうかもしれない。
自分は美濃路へ赴いていた。いつもの土曜日のようにローリー車に乗って。
車のスピーカーから流していた童謡の曲はいつもと同じだったが、アナウンスは先週までと違っていた。
今シーズン最後の灯油の販売日であることを女性の声で告げていた。
今日の売上げは1,674ℓ。先週よりは少しだけ売上げは上がった。真冬のころに比べると、かなり売上げは落ちているが、それでも仕事が終わるとかなり疲れた。
所長によると売上げが1,000ℓに満たなかった売人が今日は何人かいたようだ。そのことを考えると悪くない数字だったのかもしれない。
朝、最初の販売担当エリアに近づくと少しずつ自分が感傷的になっているのがわかった。
昨シーズンも最後の日は感傷的な気持ちになっていたようだった。
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だが、昨年と今日の気持ちはいくぶん違う。
大きな違いは、今のところ来シーズンはこの仕事を手伝うつもりがないこと。
少なくとも今朝、販売をはじめるまでの決意は100%に近かった。
対価が割に合わないこともあるが、昨シーズンと違って今シーズンははっきりと自分に限界を感じたからだ。
昨シーズンよりは販売量が上がったこと、マスクを着けての作業だったことを差し引いても。
専従者のように毎日続けることは、おそらく自分には無理だろう。
システムエンジニアとして働くことの方が向いていることを認めざるを得ない。誰かに喜ばれる仕事よりも、誰に喜ばれているかわからない仕事の方が。
販売を終えて営業所に戻ると少しだけ気持ちが揺らいでいた。馴染みのお客さんたちと触れあったことが大きいだろう。
今日、あるお客が自分へ次のようなことを口にしてくれた。今の私たちは何かを待っているのかもしれない、と。
その言葉がすんなりと自分の中へ入ってきた。
今の自分は何かを待っている。何かが何かはわからないけれど。
その待っている何かを探すために、明日があるような気もしてきた。