淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。広く浅く、そして薄い視点で気楽に書いてマース。

ホワイトデーに

 今年のバレンタインは数年ぶりに異性からチョコレートもらっていた。
 それにも関わらず、あやうくお返しを忘れるところだった。

 今日はホワイトデー。
 仕事の帰り際に独り言のように口にすると、迎えの席に座っている若い男性エンジニアの表情がみるみると変わっていった。

 オフィスビルの階段を降りていると、青い顔をした彼が追うように降りてきたので自分は少し足をゆるめた。
 自分に並びかけると彼は彼女との週末のやり取りのことを話してきた。彼女の思わせぶりな行動が多かったことを。

 その理由は彼がホワイトデーのことをすっかり忘れていたからのようだ。
 彼の話によると、彼女は今日に合わせて休みを取っているらしい。
 まだ間に合いますかね、と言われて自分は切り返した。まだ大丈夫、と。

 自分がホワイトデーのお返しをしたのは友人の娘さん。仕事帰りに家族の人数分に一つをおまけして届けた。
 自分にとって大事なカワイイガールフレンドへは忘れずにお返しをすることはできたが、もっと大きなことがその後に控えていた。

 嫁さんに呼び出されていたからだ。
 待ち合わせ場所の喫茶店に着くと彼女は座っていて、すぐに話を切り出された。
 娘が私立中学に合格したこと。そして、自分との別れ話のことを。
 彼女は緑色のペラペラの紙を机の上へ広げた。

 娘の中学受検のことは義理の弟を通してそれとなく聞いていた。
 彼女からの今夜の呼び出しはそのことに関連したことだとは考えていた。

 妻や娘と別居して10年近くになるが、法律上はまだ夫婦。
 自分たちが住む愛知県の場合、彼女と自分の収入を足した所得だと私立中学に通うための助成金は一銭も得られないからだ。
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 自分もそのことは最近知ったばかり。
 義務教育の期間に私立学校へ通うことを援助することが教育機会の均等を担保することになるのかは、自分には上手く説明できない。
 ただ思うのは、自分や妻が裕福な暮らしをしている訳ではないこと。一緒に暮らしていた時でさえも。

 彼女の取った行動について理屈では少しはわかる。
 だが、自分の感情がそれについていかない。全くもって、すっきりしない。
 もちろん、自分が悪いこともあっただろうが。

 そんな気持ちでも、明日のためにお米を研いで炊飯し、卵焼きを焼いて白米と一緒にいつも使っている弁当箱につめた。
 それでもたぶん、明日は来るのだから。

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今日の写真のモデルはななこさん。