サラリーマンだとまわりにはったりを利かせる必用があることもあるのだろう。
仕事中、業界特有の言葉やカタカナ英語を毎日のように聞く。
そんな言葉が耳に入ると、失笑してしまいそうになるときさえある。
最近、聞いた言葉で自分が一番気になったのは『legal』。嫌いな支店長が電話で自分へ口にしたが、頭の悪い自分はすぐに理解できなかった。
余談だが、ガッキーが好きではないこともあってか『リーガル・ハイ』を一度も見たことはない。
もし見ていたらすんなりと、支店長が口にした言葉の意味を理解できたのかもしれない。
システムエンジニアとして様々な業種や会社の情報システムに携わってきたが、そのためにシステムで扱われる業務上の言葉をいくつか覚える必用があった。
過去の仕事で印象に残っているのは『口銭』。ある商社の基幹システムの分析中に覚えなければならなかった。
今の客先で一番印象に残っている言葉は『内示』。自動車メーカーのサプライヤーである会社ではその言葉の意味が大きく違ったから。その会社では『内示』≒『発注』らしい。
現場の有識者に聞いたところ『発注』ではないらしいのだが、『発注』に限りなく近いとのこと。
また、発注先のメーカーによっては『確定内示』なる言葉も使うらしくて、余計にややこしかった。
メーカーに振り回されるサプライヤーはそれなりに大変だとは思ったが、もちろん同情などさらさらする気はない。
今の現場のプロパー社員は自分なんかよりも好待遇の環境で働いているのだから。
話は変わるが、弟の近況はオフィスワーカーから転落して、工場作業員として苦労しているようだ。
日付が変わってからの帰宅も珍しくないらしい、と母から聞いた。
そんな状況でも弟が今の仕事にしがみついているのはあることに希望を抱いているからのようだ。
彼が勤めている会社が近々、関連会社を買収するとのこと。
買収後にその会社に部長になることの『内示』が出ていると弟は自分に話した。
自分からしたら甘いとしかいいようがない。
突き落とした会社の口約束を簡単に信用してしまうなんて。
どうやら母親も自分と同じ意見のようだ。
さりげに忠告したが聞き入れるつもりはないらしい。
痛い思いをしても、まだ会社を信じてしまう弟が哀れでならない。『内示』はあくまで『内示』なのに。