今月になってから強いストレスを感じている。新しい環境で仕事をしていることが一番の原因だろう。
40歳を過ぎたころから適応能力には限りがあることを感じさせられる場面が増えているが、それも限界に近づいている気がする。
客先常駐のシステムエンジニアという仕事柄、新しい環境で仕事をすることは多いほうだろう。
飽きっぽい性格なのでそんなスタイルでの働き方があっている面はあるが、加齢とともにしんどさが自分のなかに少しずつ積もってきている。その溜まってきたものは何処へも行かないままだ。
今の職場環境で一番気になっているのは人間関係。自分と同じか少し歳上だと思える女性リーダーとの接触も気疲れしているが、それ以上に自分へ負担をかけているヤツがいる。
それは、自分と同じ日に着任した社会人二年目のエンジニアだ。
そのエンジニアはこれからもこのblogに登場するかもしれないので、ナンパくんと名付けることにした。
その理由は彼が付き合っている彼女との交際の始まりが、ナンパだったから。カフェでウエイトレスとして働いていた彼女に声をかけたことから二人の物語ははじまったらしい。
自分が働きはじめてから30年。今まで自分よりも歳下の人間に対して負担に思ったことはほとんどなかった。
それどころか、刺激を受けたり心の中で賞賛したりすることの方が多かった。
生きてきた時代の違いによって困惑したりすることがたまにはあったが。
ナンパくんの見た目は爽やかで非の打ち所がない好青年。
そんな彼の見た目のせいか、自分たちのリーダーは日に日に女性らしさが増している。
ネイルをしてくるようになったし、先週の木曜日は胸元が広いワンピースを着てきた。斜向かいに座っている自分は時々、目のやり場に困った。
ナンパくんは徐々に自分らしさを発揮しだした。リーダーをたらし込みはじめているし、自分に対しても都合の良いときだけ、利用しているからだ。
今の仕事をしている環境はネットに繋がっていない。
今時、珍しいとは思うが、そんなクローズした状態で仕事をしなければならないことに彼は戸惑っていたのではないだろうか。
産まれた時には当り前のようにインターネットが存在した世代だから当り前なのかもしれない。遊び、勉強、友人や異性との交流にもネットを頼ることがあまりにも普通だっただろうから。
ナンパくんは法学士。大学を卒業したら警察官になりたかったらしいが、今は別会社の50歳で声が大きなオッサンの隣に座ってコンピュータシステムの仕事をしている。
わからないこと、困っていることがあってもGoogle先生には頼れないので、隣のオッサンに聞いている。
答えを得られないことも多いだろうが、たまには迷回答をもらっていることだろう。
ナンパくんに対してそれなりに向き合っている自分は彼との距離感に戸惑ってばかり。
都合の良いときだけ近づいてくるので、こちらが油断して同じ距離感でいると思うとあっさりとかわされてしまう。
そんなことがあるとイラッとしてこちらも距離を取る。
それでも彼は自分が必用になると勝手にまた自分へと近づいてくるのだが、自分からのリアクションはかわされてばかり。
そんなことが半月以上も繰り返されているので、すっかり疲れきってしまった。
金曜日の夜、一人で宅飲みして自分を癒しているとあることに気がついた。
学歴へのコンプレックスに押しつぶされそうだった20代のころの自分が、今の自分を見たらどう思うのだろうと?
チャンスはあったはずだったのに、いろいろなことから逃げたために大学生になれなかったことを心の中でずっと悔いて恥じていたあのころの自分が、50歳の今の自分の悩みを知ったら何を思い、何を感じるのだろうかと。自分が手に届かなかった世界で勉強した人間が仕事で自分を頼ってくる未来を知ったら。
ナンパくんは社会に出てから最初の一年は会社の先輩と一緒に地元の大手電力会社で仕事をしていたらしい。
会社の先輩は40代前半で細かくて厳しかったらしいが、彼の仕事ぶりをみるとその先輩や会社の指導もどうかとは思う。
教えるのではなくて気づかせることが大事なはずなのではと、赤の他人の自分が好き勝手に思っている。
ナンパくんには割と自分のことを話している。高卒なこと、30代までは他の仕事をしていたことや趣味のことなどまでも。
むろん、彼からしたらオッサンのつまらない身の上話を聞いてやっているくらいに思われているのかもしれない。
だったら、そんなオッサンなんかに頼らずに仕事ができるような方策をもっと考えてもらいたいものだ。