淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。広く浅く、そして薄い視点で気楽に書いてマース。

小さなバス旅

 珍しく、先週からはほぼ毎日のように残業中。
 かたや、同じオフィス内には余裕をかましているプロパー社員もいる。執務中に靴下を脱ぎ、足の爪を切っている男性を見かけたこともあったし、自分の隣の島席に座っている男性エンジニアはよく鼾をかいている。
 システムエンジニアになったばかりのころには、仕事中に居眠りする人の多さにびっくりしたものだ。

 自分がお手伝いしているグループのリーダーは女性。感情をそのまままわりに出している。
 彼女の年齢は自分とそれほどは離れていないだろう。
 独り暮らしで猫を飼っている彼女。パンが好き。
 勝手な想像だが仕事を理由にして独身をこじらせて生きているように見える。
 自分が得意ではないタイプだ。

 ある日のこと、そんな彼女から残業をするように言われたので、逆らえないでいる。
 辻褄があっていない言動も多々ある彼女。
 だが、彼女とは少しも話したくないので反論することなく100%従っている。
 彼女は週に何度かはテレワークをする。そんな日のオフィスは平和なことが多い

 50代での残業はかなりきつい。仕事の疲れやストレスは蓄積されてしまうから。
 そんな心身の状態では集中力は下がり、より生産性が落ちる悪循環に陥っている。

 仕事先から最寄りの駅に一番近い通用門は西門。18:30を過ぎると閉じられる。
 18:30後は駅まで遠い正門から出なくてはならない。正門はオフィスビルからも遠いので、5分以上は駅までの歩く時間は増える。
 夏の夕暮れに街のぬるい風の中、疲れた身体で1㎞近い距離を歩くのは、アラフィスのオッサンの自分にはしんどい。

 今週のある日の帰り、正門を出たところで市バスが目に入った。
 正門から信号がある横断歩道を渡るとすぐにバス停があったので、いつの間にか足を速めていた。
 久しぶりに乗った市バスは空いていて、座席に座ることができたこともあって快適だった。冷房がほどよく効いていたこともある。

 バスは表通りを走っていった。座ったままぼんやりと見た車窓は少し新鮮だった。
 徒歩での通勤路の裏道とは違ったこともあるだろう。
 金山駅までのバス停は二つ。乗車時間はほんの数分、乗車料金は210円。

 その日から、残業した日の帰りはほぼバスに乗っている。残業した自分へのご褒美として。
 残業は意味がないと考えているのに、逆らわない小さな自分。
 残業をした日には、そんな小さな自分を210円の小さなバス旅で慰めている。

今日の写真のモデルはmiki.さん。