ひな祭りも過ぎたけれど三月になった実感がない。今年が令和五年だということにも。そろそろ元号なんて辞めてしまえばと思っているのは自分だけだろうか。
業務システムに関わったことがあるシステムエンジニアの多くが、一度は思うことのような気がするけれど。
今の自分はまだ、一応は会社員。会社からの連絡は少なくなってきてはいるが、それなりに気にはしている。
だが、四月からの仕事に自分の興味は移ってしまっている。フリーの立場でIT講師として新入社員の教育をする仕事の方が気になって仕方がない。
今までとは全く違う立場で、全く違う仕事をするからだ。
当初、講師としての仕事のスケジュールがなかなか埋まらないことが気になってはいたが、四月後半から五月末までの予定はほぼ埋まった。六月も後半を中心に、10日くらいは登壇することになりそうだ。
昨年の十一月から週に一度、かつての職場の前を通り過ぎている。灯油の巡回販売のお手伝いをしている土曜日に営業所から販売エリアの移動中への往復で。
その職場とは国道41号線沿いに建っている派手な外観の総合病院だ。
その病院で働いていたときに、他の部署の新人オリエーテーションを二ヶ月させられたことがあった。
その経験がその後の自分の人生に影響するなんて、当時の自分には全く想像がつかなかっただろう。
また、ローリー車に乗って毎週、病院の前を通り過ぎることになることも。
ちなみに今日の売上げは2,225ℓ。
その病院で理事長を含むエライ人たちから押しつけられた無理難題は他にもいくつかあった。それらのことが少し懐かしい気もする。
数年前に、その理事長も最期は痴呆症になった末に亡くなったと噂で聞いている。
好きだった人、嫌いだった人もいつかは死ぬ。善人も悪人も区別なく。
四月から、自分が登壇する際に使用するテキストが届いたのは先月末。それほど大きくはない段ボールを開けると数冊のテキストと小冊子と名刺が入っていた。
同封されていた名刺を手に取ってみた。
自分の氏名の左上には次のようなそれらしい肩書きが書かれている。『○○○○認定講師』と。
格好がつけてある名刺に違和感を覚えた。自分のファーストネームのローマ字のフリガナが全く違っていたからだ。
自分が採用されたのも何かの間違いだったりして。