淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。夜遊び、芸能ネタ、日常的なことから社会的なことまでを、広く浅く、そして薄い視点で書くので気楽に読んでください。

丁寧な暮らし

 子供のころは六人の家族の中で育った。
 しかも、そのころの実家は台所には土間があり、風呂とお手洗いが外にあった古い家。
 部屋と部屋の仕切りはふすまか簡素な扉があるだけで、家族それぞれがプライベートなスペースを持つことなんてできない家だった。
 そんな環境で育ったせいもあってか、自分はかなりがさつだ。
 デリカシーがないと言われたことも、一度や二度ではない。

 だが、そんな自分も結婚して少し変わった。
 外出するときにはハンカチがないと落ち着かなくなってしまったし、他人の家にお邪魔するときには靴と靴下を履いていくこともいつの間にか当り前になっている。

 ある芸能人が離婚しても結婚した相手によって自分のライフスタイルが大きく変わったと話していたのが印象に残っているし、自分も共感している。
 友人の影響も受けてはいるが、やっぱり一緒に暮らした相手からはより影響を受けるのは普通なのだろう。

 別れた妻は自分と違って閑静な住宅街で育った。地下鉄の駅ばかりかデパートまでも歩ける距離。
 いかにも羽振りが良さそうな暮らしをしているようにみえる家に囲まれている。
 自分と別れた後は、その家に戻って娘や両親と一緒に暮らしている。

 自分が育った家庭ではお茶は作り置き。夏でも冬でも麦茶をやかんで沸かしていた。
 喉が渇いたらガラスのコップで飲んだものだったが、そのコップは父が飲んだワンカップの空き瓶だった。

先週末のお散歩ショット。

 一緒に住んでいた祖父は上皇夫妻が成婚したときのマグカップをずっと愛用していた。
 そのマグカップを使って祖父は食後によくあることをしていた。総入れ歯をお茶の中に沈めていたのだ。
 そのお茶はごく普通に飲み干していた祖父。

 今となって思えば、あまり誉められたことではないとわかるけれど、そのころの自分にとってはごく見慣れていた光景だったので、何も感じることはなかった。
 いまだかつて、祖父のようなことを他人がしていることを見たことはない。
 祖父は誰かを真似てはじめたのだろうか。それとも、ある日に閃いたのだろうか。

 実はその話には後日談がある。
 祖母に先立たれた後の一時、祖父は実の娘の家族と一緒に住むことになった。
 自分から見たら叔母と叔父と二人の従姉妹がいる家庭に転がり込んだのだが、しばらくすると戻ってきた。

 その理由は叔母たちが入れ歯をお茶に沈めることに我慢がならなかったらしい。
 血の繋がりがあっても我慢できない振る舞いはあるらしい。

 娘から見たら、自分の我慢できない行動はあるのだろうか。
 とても丁寧な暮らしをしているとは言えないから。

今日の写真のモデルはるりかさん。