御岳スキー場の駐車場で迎えた四月。
前日の日曜日は15時過ぎまで開田高原マイアスキー場で雪遊びをした。
その後はゲレンデ近くの御嶽明神温泉やまゆり荘で汗を流してから、木曽福島の街まで降りてきた。
一番の目的は夕食を食べるためだ。
マイアだけでなく木曽地区にあるゲレンデの近くにはコンビニはないし、気軽に入れるような定食屋やラーメン屋もない。
夕食に何を食べるか迷ったがラーメン屋に入った。
以前に訪れたことがある店だったが、どれくらい前だったかは思い出せなかった。
入店するとすぐ、印象に残るほどに美味しいものを食べていない記憶が蘇ってきた。
カウンターに座ってラーメンとチャーハンを頼んだ。
カウンター越しに厨房が見えた。カウンターの向こう側に居たスタッフの平均年齢が高かったこともあってか、店内の時間の流れ方が淀んでいた。客も含めた店全てが昭和っぽかった。
出てきたラーメンとチャーハンを味わうと今風とはいえないものだった。
1400円を支払って店を出た。ゲレンデの食事よりも高くて美味しくないメニューを提供するラーメン屋は、まだしばらくは残り続けるような気がした。
お腹は満たされたのであとは眠るだけだが、寝床をどこにするかを迷った。
翌日に雪遊びをするつもりだった御岳スキー場のリフトの営業開始が7:30だったから。これまでに車中泊の時に利用することが多かった道の駅に泊まると、ゲレンデまでは30分以上はかかってしまう。
テレワークのせいで早起きはすっかり苦手になっていたからだ。
結局、御岳スキー場の駐車場で夜を過ごすことにした。
春の黄昏時が過ぎていく中で御岳の山道を上っていくのはちょっと新鮮だった。しかも、自分と同じ方向に向かっていた車が数台あったことが、より気分を強調したのかもしれなかった。
春が届きはじめた日曜日の夜をゲレンデの駐車場で過ごすのは自分だけではなさそうだった。
駐車場に着いた時にはすっかり暗くなっていたが、ヘッドライトで照らされた範囲だけでもそれなりに車が停まっていた。頭がおかしなヤツは自分以外にもそれなりにいた。
ゲレンデ近くに泊めると冷え込みが厳しいかもと考えていたが杞憂だった。よくお世話になっている寒冷地用の寝袋に包まっていると、暑くなってきたのでジャージを脱いだほどだった。
おかげでよく眠れたし、翌朝の目覚めも悪くなかった。
ただ、それでも自分が寝袋から出たのは7時過ぎ。
朝食に菓子パンをかじり、着替えてスノーボードを抱えてリフト乗り場に着くと8時近くになっていた。
御岳の最下部にあるカラマツペアリフトのスピードは速くない。平日に朝の空気を吸い込みながら山々の朝を眺めるのは悪くなかった。何度か鳥の声も聞こえた気がした。
第五クワッドリフトに乗り継いで、滑りはじるめと気持ちよかった。平日のこともあって滑走者も滑走の跡が少なかったから。
気がつくと滑りながら叫んでいた。最高、と。
平日の春スキーは、やっぱり最高だ。