淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。広く浅く、そして薄い視点で気楽に書いてマース。

雲をつかませる

 月曜日の夕方、一緒に登壇した男性のメイン講師と途中まで一緒に帰った。
 登壇先のオフィスビルから最寄りの駅である田町まで歩いて京浜東北線に乗った。彼は蒲田駅で降りるまでだから、30分以上は二人で会話しただろう。

 彼は自分の5歳上。講師としてのキャリアは10年以上だが、来年か再来年を目途に講師の仕事からは身を引きたいと話した。
 昨年に叔父から引き継いだ会社の経営に専念したいからとのこと。
 60歳近くになって社長の仕事に本腰を入れるというのは大変だろう。
 次の後継者も探さなければならない日もそれほどは遠い未来ではなさそうだが、彼はどのように考えているのだろう。

 月曜日は自分と過ごす最後の日だったこともあってか饒舌だった彼。
 講師として、登壇したくない会社についても話してくれた。

 客先の情報や面談で合わないと感じた場合はそれなりの工夫をしてきたとのこと。
 客によっては模擬講義をさせられたこともあったらしいのだが、そんな時はわざと自分のレベルを下げたそうだ。
 面談でも厄介そうな会社だと感じた時もやる気がなさそうな態度を取ってきたとのこと。

 業種としては金融系にはよいイメージを持てなかったと語ってくれた彼。
 ちなみに自分が今期、一番多く登壇する会社もかつては断ったことがあるかもしれないとのことで、自分に少し同情してくれた。
 月曜日の夜から府中に戻ってきて、自分が今日も登壇したのは銀行系のシステム子会社だからだ。

 久しぶりに受け持っている受講生たちの顔を見た時にはそれなりに感情を揺さぶられたが、それを打ち消すようなことが午後一番に起きた。
 昼休み明けには昼会があり、そこではIT技術とは関係ないカリキュラムに時間が割かれている。3分間スピーチやビジネスマナー講習などに。
 一応、自分たち講師も参加しているがはっきり言って適当ではない気がする。

 その日はビジネスマナーで客先の会社に訪れたことをシミレーションして新入社員同士で学ぶ内容だったのだが、その光景を見ていた客の人事課の責任者の逆鱗に触れてしまったようだった。

 責任者が気に入らなかった理由は一部の受講生が座っていたこと。
 このことが受注先の会社にことの顛末を書類化して報告するという馬鹿馬鹿しい事態にまで発展した。
 自分もその事態に巻き込まれてしまったので、何回もその日の講習についてヒアリングを受けた。
 そればかりか、今日からはビジネスマナー講習に積極的にコミットしなければならなくなってしまった。

 もともとマナーには重きを置いていない自分。しかも『ビジネス』なんてウヤウヤシイ言葉がついているせいで全くピンと来ない。
 お辞儀や名刺交換くらいならば、少しくらいは練習する価値はあるのかもしれないけれど、型にはめたようなビジネス会話なんて覚えても意味があるとは思えない。

 そんなことよりも、人間性を磨いた方が本質的だと自分は考える。
 感情がこもっていないキレイな言葉よりも、整ってはいないけれどしっかりと心が乗っかっている言葉の方が相手にとっての印象はよいはずだと自分は信じている。

今日の写真のモデルは望夢さん。