帰りだけでなく朝の通勤時も裏道を駆使するようになったため、渋滞の影響を受けることが少なくなった。
朝の通勤時に焦ったりイライラすることはなくなったのだが、代わりの感情が自分を支配するようになってきた。
オフィスが入っているビルは農地や荒地の中に立っているので、それほど近づかなくてもはっきりと見える。
フロントガラス越しに朝陽を浴びたビルが見えはじめると、自然と気が重くなってしまう。
それでも、仕事先の駐車上に着くと車から降りてオフィスへ向かう。
入り口で堅苦しい制服を着た守衛さんに検温を受けてから。
見とれるような美女に出会うことも、自分の好奇心を駆り立てるような体験にも巡りあう可能性が低いことはわかっていても。
始業時間が過ぎると、真っ先にあるプロパー社員の席に向かった。その社員は先日、給湯室でチャーハンを電子レンジで温めていた人物だ。
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昨日の午前中の終わりにリーダーから、彼の仕事を手伝うように指示されていたから。
その後、彼が依頼内容を説明してくれるのを自分は待っていたが、定時を過ぎても誰にも話しかけられなかったので帰宅した。水曜日は定時退社日だから、問題はなかったはずだ。
今朝、彼からの依頼内容の説明を受けた時間は5分もなかったと思う。
相変わらず、モチベーションは上がらないままだったが2時間ほどで依頼内容は片付けた。調査の結果をエクセルにまとめてメールで送った。
絵心がないこともあって、イラストや図などが入った資料を作るのは苦手だが、今日の資料はそれなりの出来だったのではないか。
昨日、お昼にチャーハンを食べていた君からも、資料について、揚げ足はとられなかったし。
昼休みに入る直前に調査の経過について、リーダーから口頭で質問された。リーダーにもカーボンコピーながら、メールを送っておいたのにも関わらず。
人には指図はするが、人からの情報を受けつけることができない人が多いのは、何故なのだろう?
調査が終わって報告したことを答えると、リーダーはきょとんとしていた。
数時間前までの自分だったら、かなりイライラしていたかもしれない。
今朝の九時過ぎにスマホで銀行口座を確認すると、所属する会社から77,801円が振り込まれていたことが、自分を少しだけ柔らかくしたような気がする。
なんだかんだ言っても、現金で俗っぽい自分……。