淡白マスヲのたんぱく宣言 

アラフィフのオッサンの雑記。広く浅く、そして薄い視点で気楽に書いてマース。

二度目の夏

 網戸にしてこの文章を書いているので、お隣の家からテレビの音が聞こえてくる。
 競技種目まではわからないがオリンピックを見ているようだ。
 年寄りにとってオリンピックをテレビで観戦することは楽しみのひとつなのだろうか。どんな状況であっても。

 自分の両隣宅は老人の独居。自分の家も含めて三軒連ねておひとり様世帯だ。
 三軒の世帯主の平均年齢はおそらく七〇歳を超しているだろう。

 昨日の夕方、令和おじさんの記者会見がテレビで放送されていたが、視聴率はどのくらいだったのだろう?
 彼の容姿はもちろんのこと、話す言葉や話し方などには少しも魅力を感じない。

 もし彼と一緒に合コンに参加したら自分のチャンスが高まるかもしれない。
 そんなコンパが催されたなら、女性は誰が出席してくれるのだろうか。カラッポオバサンこと、小池都知事がまずは浮かんだ。
 さらに……、駄目だった。偉い人たちは率先してお酒を伴う会食を控えなければならないのだった。

 あと一週間で夏休み。自分は今、TOYOTAカレンダーに従って仕事をしているので祝日はずっと出勤だった。
 来週、五日間だけ出勤すればやっと連休が取れる。家で過すことが多くなりそうだが。
 自分が住んでいる愛知県はまだ、緊急事態宣言下ではない。流行病の陽性者数はじわりと増え続けてきているが。
 職場でも昨日の金曜日、二名の陽性者と濃厚接触者と判断された四名が出社制限となっていた。

 お昼休みにはまだ、車でお弁当を食べている。
 駐車場では無駄なアイドリングをしないようにメールで通達されているので、自分はエアコンをかけていない。
 ガラスを全開にして後ろのハッチバックを上げて、なんとか暑さをしのいでいる。
 丘の上にあるので風がある日や雲が多い日でないと、お昼休みに車で過すのはきつくなってきた。

 偉い人たちにも自分と同じようなお昼休みを過ごしてみたらどうだろう? その時は自分がお弁当を作って差し入れするので。
 世の偉い人は高齢者ばかりだから、熱中症となって、医療現場に負担をかけることになってしまうかもしれないが。

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今日の写真のモデルはarinaさん。

リスク

 昨日の日曜日、所属している同人誌の例会に出席した。
 同人のメンバーに会ったのも久しぶり。blogで記憶を辿ると、昨年の九月以来の出席だったことがわかった。一年近くも会に参加していなかったことになる。
hatehatehahaha.hatenablog.com
 暑くて外出するのが少し億劫だったが、今年度の同人費を支払っていなかったのが気になっていたこともあって出かけた。

 会場は名古屋城近くの公共施設。
 会の始まりは13:30、少し遅れて到着した。
 以前と比べると施設の前も入口を入ってすぐのエントランスも閑散としていた。1Fにあった売店も営業していなかった。
 一昨年までならば考えられなかった光景だった。

 会が開かれていた会議室に入室すると出席者は二〇名近く。世間の状況を考えると参加者は少なくなかったのではないか。
 昨日の会で取り上げられた作品が良作ばかりだったこともあったのかもしれない。
 読んで楽しめた作品が二作あった。

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二次会の帰りのワンショット。

 二次会にも引き続いて参加した。場所はいつもの海鮮居酒屋だった。
 二次会への参加は少し迷ったが、この同人誌は来年で解散することが決まっていることも考えて参加した。
 参加者は6名。自分以外の全員は新型コロナのワクチンを接種していたらしい。

 インターネットやテレビなどでは市井の人々がコロナ慣れしていると言われているが、居酒屋の店内はひっそりとしていた。
 家のテレビでオリンピックを見ている人が多かったのだろうか。暑かったので外出を控えた人もそれなりにいたのかもしれない。

 少しずつではあるがコロナに対しての緊張が溶けてきてはいる自分。
 今の仕事がテレワークにならないことに憤り、同じ執務室内で作業している人間がマスクをしていないのが目に入るとイライラしているが。
 世間の中ではコロナチキンの部類に自分は入るだろう。

 東京オリンピックは今でも中止するべきだと考えているし、プロスポーツ高校野球も行うならば無観客で開催するべきだと思っている。
 観戦リスクが高い年配者はできるだけ外出は控えるべきだとも考えていた。

 だが、考えが少し変わった。昨日、久しぶりに年上の同人たちを見て。
 彼らの多くに時間の経過以上の老いを感じたからだ。若者ではなくなってしまったら、家にだけ居て決まりきった人にしか会っていなかったら心身ともに衰えていくだろう。

 母親は自分や弟の心配をよそに、週に何度か公共交通機関を利用して占いの仕事に出かけている。
 母が流行病にかからないかをずっと心配していたが、なんとか二回目のワクチン接種まで無事にこぎつけた。
 感染のリスクはあったが加齢以上の老いを母にはあまり感じていない。
 しばらくぶりに同人の彼らに会ったら、高齢者を家に閉じ込めておくと別なリスクがあることを気づかせられた。
 初老に差しかかった自分もそのリスクと無縁ではないだろう。

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今日の写真のモデルは、初めましての浦田ここなさん。

スイカバー

 世間は4連休と東京オリンピックに浮かれているように感じたのは僻みなのだろうか。
 TOYOTAカレンダーに従わさせられていたので一昨日も昨日も仕事だった自分。

 まわりが休みの中で出勤した両日、朝の出勤時の道は空いていた。裏路地を走っても通学中の子供はいないし、走っている車も少なかった。
 特に名古屋市内を走行中は車をほとんど見かけなかった。豊田市に近づくにつれて車は増え、出勤場所の近くでは普段とそれほど変わらなかったが。

 昨朝、仕事先の手前の交差点で信号を待っている時に対向車に目が留まった。
 小型のワーゲンの運転席には若い男性がカジュアルな格好で座っていた。片手にスイカバーを持ちながら。
 誰かさんとちがって休みだったのだろう。夏の休日を味わっていた彼。

 梅雨が明けてからのオフィスは暑い。流行病の対策で換気をしていることもあるのだろうがエアコンの効きはイマイチ。出勤したばかりの時間と午後は団扇が必須だ。
 室温の高さもあるのか、オフィス内で作業している人のマスク装着率は日に日に下がっている。

 ある管理職は部下を呼びつけて話をするときはノーマスクなのに、上司に報告をしに行くときにはマスクをしているダブルスタンダード
 そんな彼を注意しようとしない彼の上司もろくでもないヤツだと自分は思う。

 そんな上司たちに習ってか、彼の部下にはマスクをしない人間が多い。
 出勤してくるときにはノーマスク、オフィスに入ってもしばらくはマスクを着けないままに同僚と談笑している女性社員がいる。同僚たちは彼女のことをどう思っているのだろう?
 マスクをした方が彼女の魅力を繕うことができると考えているのは自分だけだろうか。

 火曜日、彼の部下の男性が咳きこんでいた。咳が止まらないのであれば体調不良で休めばいいのに。
 しょっちゅう咳をしていてもずっとマスクを顎にかけたままだったし、手で口を隠す素振りもなかった。

 咳の音がオフィスに響くたびに自分のイライラは募った。耐えきれなくなって自席の真後ろに座っている自分のリーダーに言った。
 自分が気を遣って言葉を選びすぎたせいか、リーダーが何を言っているのかわからないようだった。
 自分がしつこく説明すると舌打ちをして、咳の音がする方へ向かって席を立った。

 これからますます暑くなる。マスクをしたい人なんて少ないだろう。
 自分が与えられている仕事内容は十分にテレワークでもできる内容。
 在宅勤務だったら、一息つきたい時にスイカバーだって食べられるのに。

 去年の在宅勤務時には冷凍庫には常にアイスクリームをストックしていたのが懐かしくなってきた。

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今日の写真のモデルは栗本紗奈さん。

アイドリング

 今年の梅雨は過去最長だったようだが、あまりそんな気がしない。
 自分にとって一番嫌いな季節、夏がいよいよ本番を迎えた。
 梅雨が明けて最初の出勤日だった今朝。車のエンジンをかけようとしたら、インパネの何も点灯しない。ドアの窓さえ、スライドさせることはできなかった。
 自動車保険会社のロードサービスに助けを求めることにした。

 電話では15分ほどで到着するとのことだったが30分近くは待たされたが、それも想定内。朝の通勤時間帯の自宅周辺は混雑する道ばかりだから。
 その間、録画しておいた『キングダム』を見ながら待っていた。
 月曜日の帰宅後に見ることが多いので、朝に見たのは初めてだったのではないか。

 その後はリビングで寝転がりながら中国の歴史物語のアニメを見ていると、インターフォンが鳴ったので表に出た。
 ロードサービスと思われる男性が門の前に立っていた。彼の横に停まっていたのはコンパクトカー。レッカー車ではなかったのが意外だった。

 彼は手際よく作業を進めて数分で車のエンジンをかけてくれた後に次のような助言をくれた。バッテリーが弱っていることが想定されるのでエンジンを切らずにアイドリングのままにしておくこと、バッテリーを新しいものに交換することを。

 10時を過ぎると自宅から最寄りのカー用品ショップに向かった。
 店に着くとピットの作業員にバッテリーの電圧を測ってもらった。アイドリングの成果があったのか測定値はそれほど悪くなかったので、バッテリーの買い換えは見送った。

 仕事先の現場には車のトラブルで午後に出勤することを連絡しておいた。
 このような連絡は電話で報告することが客先では求められている。いつまでこの国の社会ではアナログな手段に頼り続けるのだろうか。

 自宅の車庫に入庫してもエンジンは切らなかった。
 早めの昼食を食べて着替えて、再出発するまでの間。
 自分で作った弁当を自宅のリビングで食べたのは奇妙な気はしたが、味自体は悪くはなかった。

 正午前に仕事先に向かって出発した。
 いつもの出勤と違い有料道路は走らなかった。ゆったりとした気分で夏らしい空の下、車を走らせた。

 世間では明明後日からは休みだが自分は金曜日まで出勤。
 仕事をしていても休んでいても、東京オリンピックは始まってしまうのだろう。
 いろいろと釈然としないまま、季節は変わっていく。

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今日の写真のモデルは加藤凪海さん。さくらフォト撮影会にて撮影。

勘違いできなかった思い出

 恋は勘違いからはじまる、としばしば言われる。
 勘違いしやすい性格のせいか、どちらかというと惚れっぽい自分。
 だが、勘違いすることができなかった思い出が、少なくとも二つある。

 しかも、その二つのことが起きたのは結婚後。
 結婚するとモテるようになると言われるが、自分には無縁だと思っていた。
 だが、今になってその二つのことを思い返すと、もしかしてとも思えてきた。
 どちらも10年以上も昔、ある医療法人の情報部に所属していたころの思い出。

 自分が勘違いできなかった二人の女性は当時、どちらも20代前半で魅力的だった。
 二人は院長兼理事長の秘書として採用されたが、一人は看護部長の秘書にもう一人は事務長代行の秘書にされた後のことだった。

 ちなみに自分がその法人に所属している間、正式な事務長は不在のままだった。そのかわりに何人かが入れ替わりに代行として働いていた。
 話を元に戻して一人目、事務長代行の秘書との思い出を綴る。

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仕事帰りのワンショット。職場の近くでヒマワリが咲いています。ここでポートレートを撮りたいなぁ。

 ある日の午後、事務長代行から依頼を受けた。
 彼の秘書だった彼女にパソコン入力について説明して欲しいと。
 説明した内容についてはあまりにつまらないことだったせいか、全く覚えていない。

 事務長代行が職務していたスペースは物理的にオープンだった。
 季節は夏の終わりころ、時間は定時を過ぎていたと記憶している。
 自分は彼女の横に座っていた。彼女に説明をしている最中に代行は席を外した。

 そんな時に突然、彼女が自分に机の下で膝を寄せてきた。
 そのことを偶発的なことだと考えていた。自分に言い聞かせていたようにも思う。
 ひょっとしたら彼女は自分にサインを送ってくれていたのだろうか。
 その後、何もなかったような素振りで自分は彼女と仕事をした。
 それなりに動揺はしていたが。

 看護部長の秘書だった彼女との思い出は冬の日の午前中。
 秘書だった彼女に看護部長室に呼ばれて、何かしらの依頼を受けた後のこと。

 看護部長室のパソコンで作業を終えて立ち上がって部屋から立ち去ろうとすると彼女が自分を呼び止めた。
 だが、その後の言葉は彼女から消えてしまった。

 看護部長室には水槽が置いてあった。その水槽には金魚が飼われていた。
 彼女は次の言葉を探していたようだったが、それを見つけることができないようだった。
 水槽のポンプの音が静けさを際立たせていた。

 結局、そのまま自分は看護部長室を後にした。彼女に対して気の利いた台詞さえ残せないままに。

 それから一月もしないうちに彼女たちは出勤しなくなって、そのまま退職した。
 彼女たちは自分に何かを伝えようとしていたのだろうか。そうであったならば、そのことに気がつくことができなかった自分が少し寂しい。

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今日の写真のモデルはよしかさん。